FRB当局者による発言に注目!
2025/08/06 09:05
【ポイント】
・クックFRB理事らは先行きの金融政策について新たなヒントを提供するか
・8日付で辞任するクグラーFRB理事の後任候補がどうなるか
(欧米市場レビュー)
5日、欧米時間の外為市場では米ドルが強含み。米国の長期金利(10年物国債利回り)が堅調に推移したことが米ドルの支援材料となり、一時米ドル/円は147.791円、米ドル/カナダドルは1.38056カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15265ドル、英ポンド/米ドルは1.32605ドルへと下落しました。
その後、米国の7月ISM非製造業景況指数が50.1と市場予想の51.5を下回ると、米ドルは反落。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上げ幅を、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下げ幅を縮小しました。
(本日の相場見通し)
本日は、クックFRB(米連邦準備制度理事会)理事とコリンズ・ボストン連銀総裁が米国と世界経済に関する討議に参加し、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁が講演します。クック理事らFRB当局者による発言に市場が反応しそうです。
注目点は、FRBの先行きの金融政策について新たなヒントが提供されるかどうか。クック理事とコリンズ・ボストン連銀総裁については、1日に発表された米国の7月雇用統計後初めての発言機会です。
7月の雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が前月比7.3万人増と市場予想の10.4万人増を下回ったほか、5月のNFPは14.4万人増から1.9万人増へ、6月のNFPは14.7万人増から1.4万人増へそれぞれ下方修正されました(合計25.8万人の下方修正)。
デイリー・サンフランシスコ連銀総裁は4日、主に以下のような発言をしました。
・「米国の労働市場が昨年と比べて大幅に軟化していることを示す証拠が次々と出ている」
・追加利下げについて「永遠に待つことはできない」
・「今後の会合は全て、政策調整(利下げ)が検討される会合になると考えている」
・「次回9月16-17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げは確定ではない」
・6月のドット・プロット(FOMC参加者による政策金利見通し)で示唆された年内に0.25%の利下げを2回との予測について「適切な調整幅に見える」
・「インフレ率が上昇したり、労働市場が持ち直したりすれば、年内の利下げは2回未満になることもある」
・「(2回未満よりも)年内に2回を超える利下げが必要になる可能性の方が高いかもしれない」
市場では、FRBは9月のFOMCで0.25%の利下げが行われると予想されています。CMEのFedWatchツールによると、米国時間5日時点で市場が織り込む9月の利下げ確率は約92%です。
クック理事やコリンズ総裁、デイリー総裁の発言次第では9月の利下げ観測が補強されるとともに、次々回10月以降の追加利下げ観測が高まる可能性があります。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上値を試す展開になりそうです。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、レンジワーク主体の相場付きとなりそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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トランプ米大統領は5日、「FRBのクグラー理事の後任候補を今週中に決める」と述べました。FRBは1日にクグラー理事が8日付で辞任すると発表していました。辞任の理由は明らかにされていません。
市場では、利下げに積極的な人物がクグラー理事の後任候補に選ばれるとの観測があります。仮にそのとおりの人物が後任候補に選出されれば、米ドルのマイナス材料になりそうです。
トランプ大統領はまた、26年5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事について「4人に絞った」と述べました。4人のうち2人はウォーシュ元FRB理事とハセットNEC(国家経済会議)委員長とし、他の2人は明らかにしませんでした。ベッセント財務長官については、現職にとどまりたいとの本人の意向を尊重して次期議長候補から外したようです。
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