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日銀は政策金利を据え置きへ!? 米経済指標にも注目

2025/07/31 09:21

【ポイント】
・総裁会見で日銀の追加利上げのタイミングについてのヒントが示されるか
PCEデフレーターなどを受けてFRBによる利下げ観測が後退するか

(欧米市場レビュー)

30日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は149.473円、米ドル/カナダドルは1.38307カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.13984ドル、英ポンド/米ドルは1.32257ドルへと下落。米ドル/円は4月2日以来、米ドル/カナダドルは5月29日以来の高値をつけ、ユーロ/米ドルは6月10日以来、英ポンド/米ドルは5月13日以来の安値を記録しました。

FRB(米連邦準備理事会)はFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、政策金利を4.25~4.50%に据え置くことを決定。この決定は市場予想どおりでした。米ドルが堅調に推移したのは、FOMC後のパウエルFRB議長の会見をタカ派的な内容と市場は見なしたようです。

※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCは据え置き、市場は「タカ派的」と判断!?]をご覧ください。

BOC(カナダ中銀)は政策金利を2.75%に据え置くことを決定しました。BOCの声明やマックレム総裁の会見では、状況次第で今後利下げする可能性もあることが示されたものの、市場に大きな反応はみられませんでした(*BOCの政策会合については後述)。

(本日の相場見通し)

日銀の金融政策決定会合が本日開かれます。会合の結果は通常日本時間正午頃に発表され、15時30分から植田日銀総裁が会見します。3カ月に1度の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」も公表されます。

日銀は1月に0.25%の追加利上げを実施した後、前回6月の会合まで3回連続で政策金利を0.50%に据え置きました。

日本と米国は23日に関税交渉で合意したものの、日銀は今回も政策金利を据え置くと市場は予想しています。会合後の植田総裁の会見では、これまでの「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との方針が改めて示されるとみられます。

本日の会合における注目点は、植田総裁の会見で追加利上げのタイミングについてどのようなヒントが示されるのかです。植田総裁は早期の追加利上げに慎重と市場が見なせば、が全般的に軟調に推移して、米ドル/は大台の150.000に向かって上昇し、ユーロ/円や豪ドル/円なども上値を試す展開になるかもしれません。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[注目の日銀会合&植田総裁会見!米ドル/円、150円超えとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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米国の6月PCE(個人消費支出)デフレーター先週分の新規失業保険申請件数7月シカゴ購買部協会景気指数が本日発表されます。

市場予想は以下のとおり。( )は前回の実績です。

・PCEデフレーター(前月比):0.3%(0.5%)
・PCEデフレーター(前年比):2.5%(2.3%)
・PCEコアデフレーター(前月比):0.3%(0.2%)
・PCEコアデフレーター(前年比):2.7%(2.7%)
・新規失業保険申請件数:22.3万件(21.7万件)
・シカゴ購買部協会景気指数:42.0(40.4)

PCEデフレーターなどが市場予想と比べて強い結果になれば、市場ではFRBによる追加利下げ観測が一段と後退しそうです。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。

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BOC(カナダ中銀)は30日に政策会合を開き、政策金利を2.75%に据え置くことを決定。政策金利を据え置いたのは3会合連続です。

BOCの声明では、状況次第で今後追加利下げが行われる可能性が示されました。

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BOCは声明でカナダ経済について「米国の関税が貿易に支障をきたしているものの、全体としては今のところ一定の底堅さを見せている」と評価。その一方で、「(米国の関税政策をめぐる)不確実性によって企業支出や家計支出の伸びが抑制されている」とし「賃金の伸びも引き続き鈍化している」と指摘。「1月以降、供給過剰が拡大している」との認識を示しました。

声明は先行きの金融政策について「景気減速によるインフレの下押し圧力と、関税に関連するコスト増によるインフレの押し上げ圧力、双方のタイミングと強さを引き続き評価していく」としました。そのうえで、「景気の減速がインフレにさらなる下押し圧力を加え、貿易の混乱による物価上昇圧力が抑制される場合、政策金利の引き下げが必要になる可能性がある」との認識を示しました。

マックレム総裁は会合後の会見で、「状況は前回会合(6/4)からほとんど変わっていない」と述べました。BOCの次回会合は9月17日。現時点で市場では、次回会合で政策金利は据え置かれるとの見方が有力です。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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