日本の長期金利、1.6%の次は2.0%へトライ?
2025/07/30 07:32
【ポイント】
・日本の長期金利は17年ぶりの1.60%台を維持するか
・それを超えると2.00%が次の大きな節目?
・足もとは「悪い金利上昇」の面もあり、円高要因かどうか判断は必要
日本の長期金利(10年物国債利回り)は先週24-25日にリーマンショック直前の08年7月11日以来の1.60%台を示現しました(終値ベース)。

長期金利が上昇してきた背景は、日銀がゆっくりながら金融政策の正常化を進めてきたことです。足もとでは、参院選に向けて連立与党が苦戦し、消費減税や給付金などによる財政悪化が懸念されたためです。参院選では与党が惨敗し、財政政策は不透明なままです。また、足もとでは、米国と関税交渉で合意したことで、日銀の利上げ観測がやや高まって長期金利を押し上げている面もありそうです。
長期金利が1.60%台を維持すれば、次の大きな節目は2.00%かもしれません。長期金利が2.00%を明確に上回っていたのは、97年10月以前まで遡ります。98年末~99年2月に長期金利が大きく上昇する場面(※)はありましたが、これも長くは続きませんでした。
※小渕内閣での国債増発に対して、大蔵省(当時)資金運用部が国債購入の中止を発表。これを受けて国債価格が急落(長期金利が急騰)しました。いわゆる「運用部ショック」。03年には銀行の会計方法に関連した「VaRショック」もありました(説明割愛)。
なお、30年物国債利回りは7月15日に3.219%と、99年の発行開始以来の最高値を更新しました。30年物国債利回りは20年物や40年物の国債利回りなどとともに超長期金利と呼ばれます。

日銀が2%のインフレ率を持続的に達成できるのであれば、あるいは市場がそうなると確信するならば、長期金利は2%を上回って当然かもしれません。実質金利のマイナス(名目金利<インフレ率)が常態化するならば、投資する合理性が乏しくなるからです。もっとも、足もとの長期金利上昇は財政悪化懸念を伴った「悪い金利上昇」の要素もあるため、長期金利上昇=円高とは判断しづらいところでしょう。
世界的にも長期金利は上昇傾向にあり、財政悪化懸念という共通項もあります。したがって、単に2国間の長期金利差の大小(拡大・縮小)で通貨ペアの方向を予想するだけでなく、それぞれの長期金利上昇が何に起因しているかを考えることも重要となりそうです。
・日本の長期金利は17年ぶりの1.60%台を維持するか
・それを超えると2.00%が次の大きな節目?
・足もとは「悪い金利上昇」の面もあり、円高要因かどうか判断は必要
日本の長期金利(10年物国債利回り)は先週24-25日にリーマンショック直前の08年7月11日以来の1.60%台を示現しました(終値ベース)。

長期金利が上昇してきた背景は、日銀がゆっくりながら金融政策の正常化を進めてきたことです。足もとでは、参院選に向けて連立与党が苦戦し、消費減税や給付金などによる財政悪化が懸念されたためです。参院選では与党が惨敗し、財政政策は不透明なままです。また、足もとでは、米国と関税交渉で合意したことで、日銀の利上げ観測がやや高まって長期金利を押し上げている面もありそうです。
長期金利が1.60%台を維持すれば、次の大きな節目は2.00%かもしれません。長期金利が2.00%を明確に上回っていたのは、97年10月以前まで遡ります。98年末~99年2月に長期金利が大きく上昇する場面(※)はありましたが、これも長くは続きませんでした。
※小渕内閣での国債増発に対して、大蔵省(当時)資金運用部が国債購入の中止を発表。これを受けて国債価格が急落(長期金利が急騰)しました。いわゆる「運用部ショック」。03年には銀行の会計方法に関連した「VaRショック」もありました(説明割愛)。
なお、30年物国債利回りは7月15日に3.219%と、99年の発行開始以来の最高値を更新しました。30年物国債利回りは20年物や40年物の国債利回りなどとともに超長期金利と呼ばれます。

日銀が2%のインフレ率を持続的に達成できるのであれば、あるいは市場がそうなると確信するならば、長期金利は2%を上回って当然かもしれません。実質金利のマイナス(名目金利<インフレ率)が常態化するならば、投資する合理性が乏しくなるからです。もっとも、足もとの長期金利上昇は財政悪化懸念を伴った「悪い金利上昇」の要素もあるため、長期金利上昇=円高とは判断しづらいところでしょう。
世界的にも長期金利は上昇傾向にあり、財政悪化懸念という共通項もあります。したがって、単に2国間の長期金利差の大小(拡大・縮小)で通貨ペアの方向を予想するだけでなく、それぞれの長期金利上昇が何に起因しているかを考えることも重要となりそうです。
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