マネースクエア マーケット情報

エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※7月25日更新

2025/07/25 08:50

宮田レポート(短期アップデート) 250725_miyata.pdf

[日経平均]
【当面の想定レンジ】 36,500~43,000円

[NYダウ・S&P500] 
【当面の想定レンジ】 (NYダウ) 37,500~45,500ドル
            (S&P500) 5000~6500
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 (ナスダック100) 20,000~23,560
                                   (ナスダック総合) 18,000~21,500
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 130.000~151.000円

[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 95.000~102.000



[日経平均]


【週足 エリオット波動分析】
日経平均は20年3月コロナショック底(16,358.19円)を起点とする、プライマリー上昇➂波が進行中です。さらに今年4月安値(30,792.74円)からはインターミディエイト級第(5)波の上昇にあります。
この第(5)波の上昇を以て、プライマリー➂波は完成します。

筆者は日経平均が、24年7月高値(42,426.77円)を8月中にも上抜くと予想していましたが、最高値更新はさらに早まるかもしれません。7月24日にTOPIXは最高値を更新し、この日は日経平均が一時4万2000円を回復しています。

7月第2週(7~11日)まで海外投資家は現物を15週連続で買い越しました。アベノミクス相場の始まりの時期に重なる2012年11月~13年3月(18週連続)以来、約12年ぶりの長さとなりました。連休の関係で7月第3週(14~18日)分は未発表ですが、16週連続で買い越した可能性は小さくないでしょう。

7月24日にはドル建てTOPIXも最高値を更新しています。海外投資家は日本株を長らくアンダーウェイトしており、「持たざるリスク」から日本株再評価の機運が高まっているとみられます。




【日足・時間足 エリオット波動分析】
[TOPIX]
7月24日のTOPIXは24年7月の過去最高値(2946.60)を更新、この日は一時2986まで上昇し、初の3000台が見えてきました。フィボナッチ比率に基づくと➀[3164]、➁[3323]などが導かれ、第(5)波の目標値として注目されます。

[日経平均]
7月23日の寄り前に日米関税交渉が電撃的に妥結。これを受け日経平均は急騰。24日までの2日間の上げ幅は2000円を超えました。24日は一時42,065円まで上昇し、24年7月高値(42,426円)打診が目前となりました。

想定された通り、4万円より上の価格帯「真空地帯」を大きく跳ねる展開となっています。短期的には利食い売りが出やすいとみられますが、市場は強気ムードにあり、日経平均も早々に最高値を更新する可能性があります。

なおTOPIXの目標価格(上述)、現在のNT倍率(14倍)、これらに基づくと[44,300円~46,500円]が目標となります。さらにフィボナッチ比率に基づくと、[44,597円][45,230円]などが得られます。

[予想PER別の日経平均水準]
7月24日の日経平均予想PERは16.60倍・予想EPSは2519円。この水準は、過去最高のEPS・2564円(2/13)に近いものです。



[NYダウ・S&P500]

【NYダウ日足 エリオット波動分析】 
(プリファード・カウント)
22年10月安値(28,660ドル)からの(B)波による上昇は今年1月高値(45,054ドル)で終わり、以来、C波による下落局面です。足元、C-(2)波完了を見極める局面が続いています。今後はC-(3)波の下げにより、4月安値(36,611ドル)を大きく下回る展開が想定されます。

ただし45,054ドルを上抜くと、この波動カウントは否定され─7月23日には一時45,016ドルまで上昇しています─下記オルタナティブ・カウントに切り替えます。

(オルタナティブ・カウント)
22年10月安値(28,660ドル)以来の五波構成による上昇(=プライマリー級第➄波)は、今年4月安値から最後の上昇(=インターミディエイト級第(5)波)が進行中です。
あるいはS&P500・ナスダックで検討しているごとく、4月からの上昇を「トライアングル」におけるⓑ波とカウントすることもできます。

上記波動カウントの正否はすぐに判明しませんが、少なくとも当面の高値を付けつつあること、相応の調整入りが近い、などの点で一致しています。

【S&P500日足 エリオット波動分析】 
1929年と2000年の高値を通る、過去100年近くにわたる超長期レジスタンスラインは今年7-9月[6333]に位置します。指数は同ラインに7月21日に到達した後も24日は一時6381まで上昇していますが、これは「スローオーバー」の可能性があります。ちなみにS&P500は昨年12月に同ラインに達し、その後4カ月で21%下げました。
FactSetによれば、S&P500の(12カ月先)予想PERは22.2倍(7/18時点)。これは5年平均(19.9倍)より12%、10年平均(18.4倍)からは21%、各々「割高」水準です。ひとたび調整入りとなれば、10%~20%の調整は普通に起きることでしょう。

【S&P500 長期エリオット波動分析】 
(プリファード・カウント)
4月安値(4835) からの上昇は、インターミディエイト級第5波に位置付けられ、それが終わると長期にわたる調整スタートとなります。それは4月安値を大きく下回ることが予想されます。

(オルタナティブ・カウント)
4月からの上昇は、トライアングル中ⓑ波のリバウンドに位置付けられます。
近々ⓒ波の下げがスタートするとみられ、それはⓐ波(2月~4月)下げ幅に対し、62%~66%の大きさ(813~866ポイント)になるでしょう。そうなるとⓒ波によりS&P500は5400を下回る展開になりそうです。


[ダウ輸送株平均] 第(1)波の66%戻り水準付近で推移


[マグニフィセント7] エンディング・ダイアゴナル



[ナスダック]

【ナスダック100 週足 エリオット波動分析】
(プリファード・カウント)
4月安値(16,542)からの上昇は、インターミディエイト級第(5)波の上昇に相当します。既に最高値を更新しており、第(5)波はいつ終わってもおかしくありません。遠からず調整局面が始まるとみられ、それは数年間ターム続く、長く大きなものになるでしょう。

(オルタナティブ・カウント)
4月からの上昇は「(ランニング)トライアングル」中ⓑ波に当たります。これはS&P500のオルタナティブ・カウントと同様であり、遠からずⓒ波の下落に入る見通しです。これによると今後の調整規模は、想定されるシナリオではもっとも小さいと想定されます。それでもⓒ波の下げ幅はⓐ波のそれに対し62%~66%となり、ⓑ波の高値からは3500~3750ポイントの下げになるでしょう。


【ナスダック100 時間足 エリオット波動分析】
4月安値16,542からの上昇は、インターミディエイト級第(5)波、あるいは、第(4)波「トライアングル」中ⓑ波とみられます。

7月24日には一時23,268まで上昇し最高値を更新しました。
既にフィボナッチ比率からの上値想定レンジ[23,195-24,224]内に入っています。

22,669を下回ると最初の弱気トリガーが発動します。この場合、ナスダック100は当面21,532を目指す調整に入った可能性があります。


[米ドル/円]

【月足・エリオット波動分析】 
151.899円(22/10/21)からⓍ波「円高局面」が進行中です。このⓍ波により米ドル/円(ドル/円)は、2028年4月頃までレンジ相場を形成する、というのが基本シナリオ。24年7月の161.938円は、15年6月・125.860円から9年目に付けた「8年サイクル高値」とみられます。

22年10月以来のⓍ波が描くパターンとして大きくは、➀[ランニング・トライアングル]、➁[エクスパンディッド・フラット]、これら二通りの可能性があります。

➀の場合、現行C波はA波安値(127.158円)を下回りません。C波は三波で構成され、まずは2011年からの上昇チャネルのセンターライン➀137.445円(8月)がサポートレベルとみられます。

もっとも139円処を下抜くとヘッド・アンド・ショルダーズ型の天井パターンから明確に下放れ始め─上述したセンターラインで底入れせずに─フィボナッチ・サポートの[128.945円]を試すと思われます。

➁の場合は、現行C波(五波構成)はチャネル下限(➁)を目指すような、より大きなドル安・円高が見込まれます。➁の水準は117.820円(8月)です。

【週足 エリオット波動分析】 
161.938円(24/7/3)からはC波によるドル安・円高トレンドが進行中です。このC波は(先ずは)三波構成(ⓐ-ⓑ-ⓒ)が想定され、158.825円(1/10)からⓒ波によるドル安・円高が進行中とみられます。

今年1月からのドル安・円高を、第3波による下落とみることもできます。現時点でサブシナリオですが、これによれば、先々1ドル=120円試しが視野に入ります。第1波と第3波が黄金分割(1:1.618)比率関係になると仮定すれば、 [122.625円]という目標値が得られます。

予想された通り、足元ドル/円は、149円台~151円台を試す展開となっています。ドル指数が数カ月タームの上昇に入ったとみられることも、ドル/円上昇見通しを支持しています。

こうみるとドル/円の下げトレンド再開は、今から数カ月後になる可能性が高いでしょう。

もっとも中長期でのドル安・円高基調に変わりはなく、ヘッド・アンド・ショルダーズの垂直目標値からは、いずれ1ドル=120円割れの可能性もみえています。

【日足 エリオット波動分析】 
139.877円(4/22)以来のマルii波によるリバウンドは、「ダブル・ジグザグ」(w)-(x)-(y)により継続中とみています。
142.675円(7/1)からは(y)波によるドル高円安局面に位置付けられます。7月16日には一時149.153円と3カ月半ぶり円安になったものの、[149.351円](1月からのドル/円下落の半値戻り水準)と200日MAに阻まれました。

足元で若干の円高となっていますが、それは(y)-b波とカウントできます。遠からず(y)-c波による円安となり150円台を回復し、さらには[151.408円] ((w)波と(y)波が等しく上がる水準)や、[151.586円](1月からの円高の61.8%戻り水準)などを打診することになりそうです。

金利差からのドル/円推計値
足元、日米実質金利差からのドル/円推計値は[143.440円]です。


投機筋の円買い持ち高が2週続けて縮小(2025年7月15日時点)
IMM通貨先物市場で投機筋(非商業部門)の円買い持ち高は、前週の99.1億ドルから87.0億ドルへ3週続けて縮小しました。



[ドルインデックス(ドル指数)]


【エリオット波動分析】 
日足チャートは、5月高値(101.977)から引いたレジスタンスラインを明確に上抜きました。年初から半年近く続いたドル安C波は96.377(7/1)で終わったとみられます。それは、22年高値からのジグザグ(A-B-C)の完成を意味するものです。

もっとも、今回のジグザグ完成を以て、22年高値からのドル安Ⓑ波のすべてが終了したかは疑問です。筆者はⒷ波は短くとも2028年頃まで続くとみています。
この見方通りだとすると、足元始まったドル高は(X)波に位置付けることが適当です。Ⓑ波全体はおそらく「ダブル・ジグザグ」(A-B-C-(X)-A-B-C)を描いていくでしょう。

因みにドル指数は、8月から11月まで強くなる季節性があるようです。ここからすると、ドル高は今後3~4カ月続く可能性があり、それは当面101.977(C波レッサーディグリー・マルiv波頂点)を目指すでしょう。

なお可能性は小さくなりましたが、ここから何らかの拍子に96.377を下回るケースでは、当然C波が続いていることになります。この場合は94.976を目指すでしょう。これは、A波とC波が等しく下がる水準のことです。



エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。

宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ