マネースクエア マーケット情報

米ドルは堅調に推移し豪ドルは軟調

2025/07/18 09:22

【ポイント】
・ミシガン大学消費者信頼感指数などで市場のFRB利下げ観測が後退するか
・参院選の結果次第では21日に窓開けする可能性も

(欧米市場レビュー)

17日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は149.040円、米ドル/カナダドルは1.37696カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15557ドル、英ポンド/米ドルは1.33730ドルへと下落しました。米国の経済指標がいずれも市場予想と比べて良好な結果だったことが、米ドルの支援材料となりました。

米経済指標の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・6月小売売上高(前月比):0.6%(0.1%)
・6月小売売上高(自動車を除く、前月比):0.5%(0.3%)
・先週分の新規失業保険申請件数:22.1万件(23.5万件9
・7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数:プラス15.9(マイナス1.0)

豪ドルは軟調。一時豪ドル/NZドルは1.09101NZドル、豪ドル/円は95.955円、豪ドル/米ドルは0.64471米ドルへと下落しました。豪州の6月雇用統計が発表され、結果は失業率が4.3%、雇用者数が前月比0.20万人増と、いずれも市場予想(4.1%と2.00万人増)と比べて弱い結果でした。それを受けてRBA(豪中銀)の利下げ観測が一段と高まり、豪ドルに対する下押し圧力となりました。

OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回8月11-12日のRBA会合で0.25%の利下げが行われる確率は9割超です(日本時間18日08:40時点)。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の7月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)や6月住宅着工件数、6月建設許可件数が発表されます。それらの結果に市場が反応する可能性があります。結果が発表される時間は、ミシガン大学消費者信頼感指数が日本時間23時、その他が同21時30分です。

市場予想は以下のとおり。( )は前月の実績です。
・ミシガン大学消費者信頼感指数:61.5(60.7)
・住宅着工件数(年率換算):130.0万件(125.6万件)
・建設許可件数(年率換算):139.0万件(139.3万件)

ミシガン大学消費者信頼感指数の場合、ヘッドラインの数値だけでなくインフレ期待の結果にも注目です。前月のインフレ期待は、1年先が5.0%、5年先が4.0%でした(7月分の市場予想なし)。

ミシガン大学消費者信頼感指数などが市場予想と比べて強い結果になれば、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が一段と後退する可能性があります。利下げ観測が後退する場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わりそうです。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、参院選を控え方向感模索の相場付き!今後の注目ポイントは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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20日に参議院議員選挙の投開票が行われます。“選挙の結果次第では、拡張的な財政政策が今後とられて日本の財政赤字が拡大するとの懸念”が市場にはあるようです。

21日(月)に窓開け(金曜日の終値と月曜日の始値に著しい差が生じること)が発生する可能性があります。また21日は、日本が祝日で市場の流動性が低下して値動きが大きくなる可能性もあるため注意が必要です。

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FRBのウォラー理事は17日(日本時間18日朝)にNYで講演し、FRBは7月29-30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げすべきとの認識を示しました。ウォラー理事は7月の利下げを支持する考えをこれまでに示しており、そのことにサプライズはありません。

ウォラー理事は講演で、「関税は一時的な影響しか及ぼさないとみられ、FRBは看過できる」、「インフレの上振れリスクは限定的」との認識を示す一方、「労働市場の軟化を示す証拠が増えている」、「民間部門の雇用はほぼ停止状態だ」と指摘。「9月、あるいは今年終盤まで利下げを待つことは、金融政策が後手に回るリスクが伴う」と述べました。

そのうえで、「7月のFOMCで0.25%の利下げを行うことは理にかなっている」と述べ、その後については「基調的なインフレが抑制されて経済成長が緩やかなら、さらなる利下げを支持するだろう」と語りました。

ウォラー理事は、パウエルFRB議長の後任候補の一人とみられています。次期FRB議長を打診されたのかと質問されると、ウォラー理事は「されていない」と答えました。

本日の『ファンダメ・ポイント』は[パウエルFRB議長の交代に関する考察]です。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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