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NOK/SEK:リクスとノルゲの金融政策見通し

2025/07/11 08:01

【ポイント】
・スウェーデンのCPIが上振れしてリクスバンクの利下げ観測が後退
・ノルウェーのノルゲバンクは6月に現局面で初の利下げ。今後も追加がありそう
・金融政策見通しはいずれNOK/SEKに下押し圧力か
・EUへの相互関税の行方や原油価格の動向も相場材料となりそう

ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(以下、NOK/SEK)は今週、下落して始まったあとは横ばいで推移しています。7日に発表されたスウェーデンの6月CPIが市場予想を上回ったことで、リクスバンク(スウェーデン中銀)の利下げ観測は後退しました。一方、10日発表のノルウェーの6月CPIはほぼ市場予想の通りで、NOK/SEKには大きな動きはみられませんでした。

北欧CPI

10日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、リクスバンクの次回8月20日会合での利下げを市場は2割程度織り込んでいます。9月会合までで約5割(つまり利下げか据え置きかが五分五分)。12月会合までで1回の利下げを完全に織り込んで、追加利下げの確率が1割程度でした。

他方、同じくOISに基づけば、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)の次回8月14日会合での利下げの確率は3割弱。9月会合までで7割、11月会合で1回の利下げを完全に織り込んで、12月会合まででの追加利下げの確率が約8割でした。

リクスとノルゲの見通し

リクスバンクの政策金利は現在2.00%。あと1~2回の利下げがあるとしても、打ち止めの接近を示唆するかもしれません。一方で、ノルゲバンクの政策金利は4.25%。6月19日に現局面で初めての利下げを実施したばかり。利下げ観測は一段と高まる可能性があります。NOK/SEKには、いずれ金融政策面から下押し圧力が加わりそうです。

ワイルドカードになりそうなのが、トランプ関税の行方原油価格の動向でしょう。

EU(欧州連合)に対する米国の相互関税がどうなるかは依然として不透明です。通商交渉の結果次第では高率の関税が上乗せされる可能性があります。また、品目別関が課される可能性もあります。その場合、EUに加盟しているスウェーデンの経済に打撃となり、追加的な利下げが必要になるかもしれません。

EU NATO ユーロ圏

他方、ノルウェーはEUに加盟しておらず、現時点では一律10%の相互関税を課されているだけのようです(今後、変わる可能性はありますが)。ノルウェー経済にとって重要なのは原油価格の動向でしょう。ノルウェーが産油国であるためです。中東情勢の緊迫化などによって原油価格が上昇するならば、NOK/SEKのプラス材料となりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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