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トランプ減税成立、債券自警団はどこへ??

2025/07/08 07:52

【ポイント】
・トランプ減税により財政赤字は10年間で4兆ドル拡大⁉
・関税収入や今後の歳出削減で減税を賄えるか
・債券市場は財政赤字拡大に寛容??

トランプ減税を実現させるためのOBBBA(予算調整法案「一つの大きな美しい法案」)は先週、上下両院を通過し、4日独立記念日にトランプ大統領が署名して成立しました。

中立のCRFB(責任ある連邦財政委員会)の分析では、OBBBAにより財政赤字は10年間で4.1兆ドル拡大します。また、34年の連邦債務はGDP比127%となり、現行法のままの117%より大きくなるとの予測です(※)。

※州・地方税控除などの時限措置が恒久化されれば、財政赤字は10年間で5.5兆ドル拡大、34年の連邦債務GDP比は130%と予測されています。

OBBBA成立の可能性が高まるなか、長期金利(10年物国債利回り)は5月中旬をピークに6月末まで低下基調でした。(表面上は堅調な)6月雇用統計が発表された7月3日は比較的大きく上昇。長期金利は独立記念日を挟んで7日にも上昇しましたが、これは一連の国債入札(8日3年債、9日10年債、10日30年債)を控えた警戒感が大きかったのかもしれません。いずれにせよ、債券市場が金利上昇(国債価格下落)によって財政赤字に警鐘を鳴らす、いわゆる「債券自警団」が出動したと言えるほどの金利上昇ではなかったようです。

■5月20日付け「債券自警団、米財政赤字に警鐘を鳴らすか」もご覧ください。

米長期金利

長期金利が財政赤字拡大を織り込んだうえで現在の水準にあるのか、そうでなければ何らかのきっかけで大きく上昇するのか。それとも、関税収入で減税が賄われる、あるいは26年度以降の予算で歳出削減が実現すると市場はみなしているのか。いずれにせよ長期金利の動向に引き続き注目でしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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