トランプ関税をめぐるニュースに注意! OPECプラスの決定が原油価格の重石に!?
2025/07/07 09:10
【ポイント】
・トランプ政権による関税がどうなるか
・OPECプラス有志国が市場予想に反して増産ペースを加速
(欧米市場レビュー)
4日、欧米時間の外為市場は比較的落ち着いた展開。おおむね米ドル/円は144円台前半、ユーロ/米ドルは1.17ドル台後半、ユーロ/円は170円ちょうど前後で推移しました。トランプ米大統領が関税の対象国に対して関税率を示した書簡をおそらく4日から送付すると表明し、関税率は最大70%にする考えを示しました。それを受けて東京時間は米ドルが弱含んだものの、欧米時間は米国が独立記念日の祝日で市場参加者が減少する中で様子見ムードが漂いました。
(本日の相場見通し)
トランプ政権は4月9日、相互関税の上乗せ分の適用を90日間停止しました。その停止期限が7月9日に到来します。停止期限が迫るなか、関税をめぐるニュースに注意が必要です。
ベッセント米財務長官は6日、通商交渉について「米国の貿易赤字のほとんどを占める18カ国・地域に重点を置いている」と述べ、貿易額の小さい約100カ国に対しては一律10%の相互関税の基本税率のみ課すことを検討しているとしました。
一方、トランプ米大統領は同じく6日、いくつかの国と通商交渉で合意したとし、「(その他の国には)関税率を示す書簡を7日に12通か15通送る可能性がある」と述べました。ラトニック商務長官は「(新たな税率の)関税は8月1日に発効する」と語りました。
関税についての新たなニュースにより、トランプ政権が高率の関税を課す可能性が高まれば、市場では米国のスタグフレーション(景気の停滞とインフレの高進が同時に起こること)への懸念が強まるかもしれません。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円には下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。
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OPECプラスのうち原油の自主減産を行っている有志8カ国(※)は5日にオンライン会合を開き、8月に原油の生産量を日量54.8万バレル増やすことで合意しました。
有志8カ国は4月から自主減産の縮小(増産)を開始し、4月分は日量13.8万バレル、5月分・6月分・7月分はそれぞれ同41.1万バレルの増産を決定してきました。
市場では8月分も直近3カ月と同じく41.1万バレル増産されると予想されていたため、有志8カ国が原油の増産(供給拡大)ペース加速を決定したことを受け、米WTI原油先物と北海ブレント原油先物は日本時間本日朝の取引で下落しています。
原油価格の下落は、ノルウェークローネやカナダドルにとってマイナス材料になると考えられます。原油価格が下落を続ける場合、両通貨に対して下押し圧力が加わる可能性があります。
(※)サウジアラビア、ロシア、イラク、UAE(アラブ首長国連邦)、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン
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