トランプ減税法案が上院を通過、7月4日までに成立するか
2025/07/02 08:08
【ポイント】
・7月1日、米上院が僅差でトランプ減税法案を可決
・上院案は下院案以上に財政赤字を拡大させる模様
・下院が共和党が期限とする7月4日までに可決する可能性は高くなさそう
米議会の上院は1日、トランプ減税を実現するためのOBBBA(※)を51対50の僅差で可決しました(最後にバンス副大統領が賛成票)。上院案は下院案から多くの修正が入ったため、再度下院へ送付されて審議・採決されます。共和党は自ら設定した7月4日(独立記念日)の期限までにOBBBAを成立させることができるでしょうか。
※トランプ大統領の言葉を借りた「ひとつの、大きな、美しい法案(One Big Beautiful Bill Act)」のこと。同法案は、上院でも単純過半数で可決可能(≒民主党の協力が不要)な予算調整法案。
*******
CRFB(責任ある連邦財政委員会)によれば、OBBBA上院案が成立すれば財政赤字は10年間で4兆ドル拡大します。期限付き項目(たとえば州地方税の控除拡大は4年間のみ)の全てを恒久化すれば、赤字は5.5兆ドル拡大します。同じくCRFBによれば、下院案のコストは10年間で2.9兆ドル、全てを恒久化すれば同5.0兆ドルとのことです。

当初の下院案は215対214のギリギリで可決されました。上院案は下院案より財政赤字が大きく拡大するため、財政均衡化を主張する保守強硬派(フリーダムコーカス)や、メディケイド(低所得層向け医療保険)などの削減に抵抗する穏健派から強い反対が予想されます。

OBBBA成立の可能性や今後の展開について、最近お世話になっている生成AI(Grok)に聞いてみました。その結果は・・・(一部筆者が加筆・修正しています)。なお、下記代替シナリオの「修正再交渉」と「否決リスク」では、8月ごろにデットシーリング(債務上限)を引き上げる措置が別途必要になるでしょう。
7月4日までに可決される確率:
現状、共和党内の分裂(財政保守派4~5名、穏健派3~4名の反対リスク)と短い審議期間を考慮すると、7月4日までの可決は30~40%程度の低い確率でしょう。5月の下院案の投票では、トランプ大統領の介入とジョンソン下院議長主導の42ページの修正案で辛うじて僅差(215対214)で可決されましたが、上院案の変更(特に財政赤字拡大とメディケイド削減強化)が新たな反対を招く可能性が高いでしょう。
代替シナリオ:
採決の延期:トランプ大統領の「期限延長」容認発言により、7月4日を過ぎても下院での審議が続き、7月中旬(債務上限期限前)での可決を目指す可能性もあります。その場合でも、8月の議会休会前の解決が必要でしょう。
修正再交渉:下院が上院案を拒否し、さらなる修正を求める場合、上下両院協議会での調整が必要となり、9月30日の予算調整期限まで時間がかかるかもしれません。
否決リスク:共和党内の反対が収まらなければ、5月の215対214の投票結果から考えても、少数の造反で法案が否決される可能性もあります。
・7月1日、米上院が僅差でトランプ減税法案を可決
・上院案は下院案以上に財政赤字を拡大させる模様
・下院が共和党が期限とする7月4日までに可決する可能性は高くなさそう
米議会の上院は1日、トランプ減税を実現するためのOBBBA(※)を51対50の僅差で可決しました(最後にバンス副大統領が賛成票)。上院案は下院案から多くの修正が入ったため、再度下院へ送付されて審議・採決されます。共和党は自ら設定した7月4日(独立記念日)の期限までにOBBBAを成立させることができるでしょうか。
※トランプ大統領の言葉を借りた「ひとつの、大きな、美しい法案(One Big Beautiful Bill Act)」のこと。同法案は、上院でも単純過半数で可決可能(≒民主党の協力が不要)な予算調整法案。
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CRFB(責任ある連邦財政委員会)によれば、OBBBA上院案が成立すれば財政赤字は10年間で4兆ドル拡大します。期限付き項目(たとえば州地方税の控除拡大は4年間のみ)の全てを恒久化すれば、赤字は5.5兆ドル拡大します。同じくCRFBによれば、下院案のコストは10年間で2.9兆ドル、全てを恒久化すれば同5.0兆ドルとのことです。

当初の下院案は215対214のギリギリで可決されました。上院案は下院案より財政赤字が大きく拡大するため、財政均衡化を主張する保守強硬派(フリーダムコーカス)や、メディケイド(低所得層向け医療保険)などの削減に抵抗する穏健派から強い反対が予想されます。

OBBBA成立の可能性や今後の展開について、最近お世話になっている生成AI(Grok)に聞いてみました。その結果は・・・(一部筆者が加筆・修正しています)。なお、下記代替シナリオの「修正再交渉」と「否決リスク」では、8月ごろにデットシーリング(債務上限)を引き上げる措置が別途必要になるでしょう。
7月4日までに可決される確率:
現状、共和党内の分裂(財政保守派4~5名、穏健派3~4名の反対リスク)と短い審議期間を考慮すると、7月4日までの可決は30~40%程度の低い確率でしょう。5月の下院案の投票では、トランプ大統領の介入とジョンソン下院議長主導の42ページの修正案で辛うじて僅差(215対214)で可決されましたが、上院案の変更(特に財政赤字拡大とメディケイド削減強化)が新たな反対を招く可能性が高いでしょう。
代替シナリオ:
採決の延期:トランプ大統領の「期限延長」容認発言により、7月4日を過ぎても下院での審議が続き、7月中旬(債務上限期限前)での可決を目指す可能性もあります。その場合でも、8月の議会休会前の解決が必要でしょう。
修正再交渉:下院が上院案を拒否し、さらなる修正を求める場合、上下両院協議会での調整が必要となり、9月30日の予算調整期限まで時間がかかるかもしれません。
否決リスク:共和党内の反対が収まらなければ、5月の215対214の投票結果から考えても、少数の造反で法案が否決される可能性もあります。
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