大統領対FRB議長、ニクソンとバーンズのケース
2025/06/26 08:40
【ポイント】
・パウエル議長への利下げ要求が一段と強まる
・70年代のバーンズ議長はニクソン大統領への忖度から緩和的政策を運営?
・インフレ抑制は79年にボルカー議長が登場してから
トランプ政権からFRBに対する利下げ要求が一段と強まっています。トランプ大統領はパウエル議長を「愚か者」と呼び、2~3%の利下げを行うよう要求。26年5月に任期が満了するパウエル議長の後任人事にしばしば言及しています。ラトニック商務長官は25日、SNSで「次回(7月)の会合で極めて高い金利を引き下げろ」と発信しました。また、パウエル議長は、25日の上院での議会証言で共和党議員から政治的に偏向していると指弾されました。
過去にも政権からFRBに利下げ圧力がかけられた例は多くあります。その中でも、FRBの独立性が問われたニクソン大統領(在任69年1月20日~74年8月9日)とバーンズ議長(同70年2月1日~78年3月8日)の関係について概観します。
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ニクソン大統領は、自らが指名したバーンズ議長に対して直接・間接に金融緩和を求めたとされています。
米国は、60年代からのベトナム戦争、71年8月のニクソン・ショック(金兌換停止)、73年10月の第4次中東戦争や78年1月のイラン革命に端を発する2度のオイル・ショックなどにより景気が低迷するなかでインフレが高騰。いわゆるスタグフレーションに陥りました。
そうしたなかで、FRBは金融政策を引き締め的に運営したものの、それは不十分だったと評価されることが多いようです。とりわけ、71年末~72年初頭には72年11月の選挙での再選を目指すニクソン大統領に協力的だったとされています。74年にはインフレが高騰するなかで時期尚早に利下げを進めたようです。また、第2次オイル・ショック後の対応(引き締め)も後手に回ったようです(ただし、78年3月~79年8月のFRB議長はミラー氏)。米国のインフレが落ち着くのは、インフレファイターとして名を残すボルカー議長の登場(79年8月就任)を待つ必要がありました。
・パウエル議長への利下げ要求が一段と強まる
・70年代のバーンズ議長はニクソン大統領への忖度から緩和的政策を運営?
・インフレ抑制は79年にボルカー議長が登場してから
トランプ政権からFRBに対する利下げ要求が一段と強まっています。トランプ大統領はパウエル議長を「愚か者」と呼び、2~3%の利下げを行うよう要求。26年5月に任期が満了するパウエル議長の後任人事にしばしば言及しています。ラトニック商務長官は25日、SNSで「次回(7月)の会合で極めて高い金利を引き下げろ」と発信しました。また、パウエル議長は、25日の上院での議会証言で共和党議員から政治的に偏向していると指弾されました。
過去にも政権からFRBに利下げ圧力がかけられた例は多くあります。その中でも、FRBの独立性が問われたニクソン大統領(在任69年1月20日~74年8月9日)とバーンズ議長(同70年2月1日~78年3月8日)の関係について概観します。
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ニクソン大統領は、自らが指名したバーンズ議長に対して直接・間接に金融緩和を求めたとされています。
米国は、60年代からのベトナム戦争、71年8月のニクソン・ショック(金兌換停止)、73年10月の第4次中東戦争や78年1月のイラン革命に端を発する2度のオイル・ショックなどにより景気が低迷するなかでインフレが高騰。いわゆるスタグフレーションに陥りました。
そうしたなかで、FRBは金融政策を引き締め的に運営したものの、それは不十分だったと評価されることが多いようです。とりわけ、71年末~72年初頭には72年11月の選挙での再選を目指すニクソン大統領に協力的だったとされています。74年にはインフレが高騰するなかで時期尚早に利下げを進めたようです。また、第2次オイル・ショック後の対応(引き締め)も後手に回ったようです(ただし、78年3月~79年8月のFRB議長はミラー氏)。米国のインフレが落ち着くのは、インフレファイターとして名を残すボルカー議長の登場(79年8月就任)を待つ必要がありました。

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