ノックセックが約4カ月ぶり高値、英・ノルウェー・トルコの中銀会合開催
2025/06/19 09:21
【ポイント】
・英中銀やノルウェー中銀の会合を受けて市場の金融政策見通しが変化するか
・トルコ中銀のタカ派的な姿勢が変化するか
・米国祝日で市場の流動性が低下、値動きが増幅する可能性も
(欧米市場レビュー)
18日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は145.100円近辺、米ドル/カナダドルは1.36985カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.14593ドル、英ポンド/米ドルは1.33987ドルへと下落しました。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長がFOMC(米連邦公開市場委員会)後の会見で米景気や労働市場に楽観的な見方を示したことなどが、米ドルの支援材料になりました。
※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCは年内2回利下げ予想も、パウエル議長の慎重姿勢は変わらず]をご覧ください。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(ノックセック)は一時0.96690スウェーデンクローナへと上昇し、2月13日以来およそ4カ月ぶりの高値をつけました。
スウェーデン中銀は0.25%利下げすることを決定しました。声明で「昨年から始まった(スウェーデンの)景気回復は勢いを失い、インフレ率は前回の予測よりも若干低くなるとみられる」と指摘。「政策金利の予測には、今年中にさらに利下げが行われる可能性が含まれている」、「インフレと経済活動の見通しは、金融政策の(さらなる)緩和を示唆している」との認識を示しました。
今回の利下げは市場予想どおりだったものの、声明で今後さらに利下げが行われる可能性が示されたことが、スウェーデンクローナのマイナス材料となりました。
(本日の相場見通し)
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは18日、関係筋の情報として「トランプ大統領はイラン攻撃計画を承認した」と報じました。イランが核開発計画を放棄するかを見極めるため最終命令は保留されているとのこと。
トランプ大統領は18日、記者団から米国はイラン攻撃を計画しているのかと問われると、「今と1週間前とでは大きな違いがある。私がこれから何をするか、誰も分からない」と述べました。
中東情勢には引き続き要注意です。中東情勢がさらに緊迫する場合、リスクオフが一段と強まる可能性があります。
米国は本日ジューンティーンスの祝日です。外為市場では参加者が減少して流動性が低下するため、中東情勢を含めて突発的なニュースが出てきた場合には値動きが増幅される可能性があります。なお、米国の株式市場や債券市場は休場です。
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本日は、BOE(英中銀)やノルウェー中銀、TCMB(トルコ中銀)の政策会合が開かれます。それらの結果に市場が反応する可能性があります。
<BOE>会合の結果は日本時間20時に発表
BOEは前回5月の会合で0.25%の利下げを実施し、現在の政策金利は4.25%です。
本日の会合について市場では、政策金利は据え置かれるとの見方が大勢です。その通りの結果になれば、BOEの声明や会合の議事録が材料になりそうです。
前回会合時の声明では、「中期的なインフレ見通しに基づけば、ゆっくりと、慎重に、金融政策の抑制度合いを一段と緩めるアプローチが適切だ」とされました。
声明ではまた、「世界の通商政策に関する不確実性が高まった」、「金融市場の変動は大きくなり、市場の政策金利見通しは低下した」、「結果として世界経済の見通しは弱まった」との認識が示されました。
BOEは次回8月7日の会合で追加利下げを行うとの観測があります。BOEの声明や議事録によってその観測が高まる場合、英ポンドには下押し圧力が加わりそうです。
※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、英中銀会合が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
<ノルウェー中銀>会合の結果は日本時間17時に発表
ノルウェー中銀は23年12月に利上げを実施し、その後は政策金利を4.50%に据え置いています。
市場では、政策金利は今回も据え置かれるとの見方が有力。その通りの結果になれば、ノルウェー中銀の声明が材料になりそうです。
5月会合時の声明では先行きの金融政策について「現時点の判断では25年中に利下げが行われる可能性がもっとも高い」とされました。
市場では、ノルウェー中銀は9月に利下げを行うとの観測があります(次回8月14日の会合も政策金利の据え置きを予想)。
ノルウェー中銀の声明を受けて市場の利下げ観測が後退すれば、ノルウェークローネのプラス材料になりそう。ノルウェークローネ/スウェーデンクローナの上値メドとして、1月15日高値の0.98516スウェーデンクローナが挙げられます。
<TCMB>会合の結果は日本時間20時に発表
TCMBは前回4月の会合で利上げすることを決定。主要政策金利の1週間物レポ金利を42.50%から46.00%へ、上限の翌日物貸出金利を46.00%から49.00%へ、下限の翌日物借入金利を41.00%から44.50%へと引き上げました(※)。
(※)TCMBは1週間物レポ金利を中心に、上限の翌日物貸出金利と下限の翌日物借入金利の範囲内に市場金利を誘導しています。
本日の会合について市場では、1週間物レポ金利と翌日物借入金利は据え置かれると予想されています。一方、翌日物貸出金利は1.50%引き下げられて47.50%になるとの見方が優勢です。仮にその通りの結果になれば、主要政策金利である1週間物レポ金利との差は、翌日物貸出金利と翌日物借入金利のいずれも1.50%となります。
TCMBの声明にも注目です。前回会合時の声明では、先行きの金融政策について以下のようにタカ派的な姿勢が示されました。
・「インフレ率の持続的な鈍化によって物価の安定が達成されるまで、引き締め的な金融政策スタンスを維持する」
・「予想されるディスインフレの道筋に必要な引き締め(度合い)を確保するように政策金利(の水準)を決定する」
・「インフレ率の大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合、金融政策スタンスを(さらに)引き締める」
本日の会合で翌日物貸出金利が1.50%引き下げられたとしても、TCMBのタカ派的な姿勢に変化がなければ、トルコリラはそれほど下がらないかもしれません。
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