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米CPIは落ち着き、10年物国債入札は順調

2025/06/12 08:04

【ポイント】
・5月米CPIは総合・コアとも比較的落ち着いた内容
・17-18日のFOMCに向けてトランプ大統領の利下げ要求は強まるかも
・10年物国債入札は順調。本日の30年物国債入札に要注目

米国の5月CPI(消費者物価指数)はインフレの落ち着きを示しました。CPIの発表を受けて長期金利(10年物国債利回り)は大幅に低下。その後に実施された10年物国債入札も順調に終わり、長期金利は一段と低下しました。米ドル/円はCPI発表直前の145円台ミドルから約1円下落して、144円台ミドルで推移しています(日本時間12日07:30現在)。

米長期金利ティック

11日付けのOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込むFOMCのメインシナリオ(確率5割超)は、「9月、12月、26年3月に各0.25%の利下げ」です。CPIの落ち着きを受けて、トランプ大統領からの利下げ要求は一段と強まるかもしれません。

今週の国債入札における最大の注目は12日の30年物。30年物国債入札が順調であれば、債券投資家のセンチメントは比較的良好と判断されるでしょう。逆に不調であれば、トランプ関税に絡んだインフレ懸念やトランプ減税による財政赤字拡大の懸念が根強いと言えるかもしれません。

長期金利は今年に入って4.8%近辺から、相互関税発動前後の株価急落を受けて一時3.8%近くまで低下。そこから反発して足もとでは4%台半ばでもみ合っています。今後どのように方向感が生じるか注目されるところでしょう。

米長期金利 日足

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米国の5月CPI(消費者物価指数)は、総合エネルギーと食料を除くコアともに前月比0.1%と、4月(いずれも0.2%)から伸びが鈍化し、市場予想(0.2%と0.3%)を下回りました。コアは4カ月連続で市場予想を下回っており、その間の上昇率は年率1.0%にとどまっています。

前年比では総合が2.4%と、4月(2.3%)から伸びが高まったものの市場予想と同じ。コアは2.8%と、4月と同じで市場予想(2.9%)を下回りました。

CPI

トランプ関税の影響は?
CPIの項目別の前月比をみると、家電製品が2カ月連続で前月比0.8%と高い伸びとなっており、関税の影響を受けているのかもしれません。ただ、自動車を含めてそれ以外に関税の影響はあまりみられないようです。関税の影響がある程度反映されてこの結果なのか、それともこれから発現するのか、関税そのものの行方も不透明なため、判断が難しいところでしょう。(輸入価格上昇の影響が考えられる)商品コアは前年比0.3%と2カ月連続でプラス圏に入ってきましたが、より比重の大きいサービスコアの伸びが鈍化しており、コア全体の伸びを抑えているようです。

CPIコア
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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