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米中が通商協議で枠組み合意、米CPIが本日発表

2025/06/11 09:06

【ポイント】
・米中両国の通商枠組み合意でリスクオンが強まるかどうか
・米CPIで市場のFRB金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

10日、欧米時間の外為市場ではが軟調に推移。ユーロ/円は一時165.571円へと上昇し、24年11月上旬以来およそ7カ月ぶりの高値を記録。米ドル/円は145.244円、豪ドル/円は94.534円、NZドル/円は87.665円へと上昇する場面がありました。米国と中国の通商協議進展への期待からリスクオン(リスク選好)が強まり、円の重石となりました。

英ポンドも軟調。一時英ポンド/米ドルは1.34572ドルへと下落し、ユーロ/英ポンドは0.84639ポンドへと上昇。ユーロ/英ポンドは5月9日以来およそ1カ月ぶりの高値をつけました。英国の2-4月の雇用統計の弱い結果が英ポンドへの下押し圧力となりました。

英雇用統計の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・失業率:4.6%(4.5%) *21年5-7月以来の高い水準
・賃金上昇率(前年比):5.2%(5.3%)
・民間部門賃金上昇率(ボーナスを除く。前年比):5.1%(市場予想なし) *1-3月の5.3%から鈍化

(本日の相場見通し)

米国と中国は10日、閣僚級の通商協議を9日に続いてロンドンで行いました。

日本時間11日午前8時頃、中国の李成鋼商務次官は「(5月の)ジュネーブ合意を実行するための枠組みについて原則合意した」と述べました。

米国のラトニック商務長官は「トランプ大統領と中国の習近平国家主席が承認すれば、枠組みは実行されるだろう」とし、「この枠組みによってレアアース(希土類)をめぐる問題が解決されることを期待する」などと語りました。

米中両国が通商協議で枠組み合意したことでが弱含んだものの、の弱含みは一時的でした。

アジア時間や欧米時間で通商協議の内容を市場がどう評価するか注目されます。仮にリスクオン(リスク選好)が強まる場合、が再び弱含んで米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円、NZドル/円など)は堅調に推移する可能性があります。

***

米国の5月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果に市場が反応しそうです。

CPIの市場予想は以下のとおり。( )前月の実績です。
<総合>
・前月比:0.2%(0.2%)
・前年比:2.4%(2.3%)

<コア>
・前月比:0.3%(0.2%)
・前年比:2.9%(2.8%)

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の追加利下げを行うとの見方が優勢。CMEのFedWatchツールによると、米国時間10日時点で市場が織り込む利下げ確率は、6月17-18日のFOMCで約1%、7月29-30日のFOMCまでで約15%、9月16-17日のFOMCまでで約60%です。

CPIが市場予想を下回る結果になれば、FRBの追加利下げ観測が高まると考えられます。その場合には米ドルのマイナス材料となり、米ドル/カナダドルは軟調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移しそうです。ユーロ/米ドルの目先の上値メドとして、4月21日高値の1.15680ドルが挙げられます。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、米5月CPI結果が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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