米中通商協議開催、その結果に市場が反応しそう
2025/06/09 08:58
【ポイント】
・米中通商協議では両国の貿易摩擦緩和に向けて前進がみられるか
(欧米市場レビュー)
6日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は145.043円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.13714ドル、英ポンド/米ドルは1.35056ドルへと下落しました。米国の5月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比13.9万人増と、市場予想の12.6万人増を上回ったことが、米ドルのプラス材料になりました。
※米雇用統計について詳しくは、7日の『ファンダメ・ポイント』[米雇用統計、堅調にみえる陰で労働市場軟化を示す兆候も]をご覧ください。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.95344スウェーデンクローナへと上昇し、4月2日以来およそ2カ月ぶりの高値をつけました。原油価格の上昇がノルウェークローネのプラス材料になったと考えられます。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物の中心限月7月物は、前日比1.21ドル高(1.91%)の1バレル=64.58ドルで取引を終了。一時は64.80ドルへと上昇し、中心限月として4月下旬以来の高値をつけました。
(本日の相場見通し)
本日は、米国と中国の閣僚級による通商協議がロンドンで行われます。米国側からはベッセント財務長官やラトニック商務長官、グリアUSTR(米通商代表部)代表、中国側からは経済政策を担当する何立峰副首相が協議に出席するようです。通商協議の結果に市場が反応しそうです。
トランプ米大統領は6月6日、「中国の習近平国家主席が米国へのレアアース(希土類)の輸出再開に同意した」と発言。中国政府は7日、レアアースの輸出申請を一部承認したと発表しました(ただし、対象の国や産業は明らかにせず)。
米中両国は5月にジュネーブで行われた閣僚級の通商協議で合意し、互いに追加関税を115%引き下げました。しかしその後、米国は中国が合意に違反してレアアースなどの輸出規制を続けていると主張。中国は米国の主張には根拠がないとし、双方が非難しあう事態になっていました。
本日の通商協議では、中国によるレアアースの輸出規制やトランプ政権による関税などについて議論されるとみられます。両国の貿易摩擦緩和に向けて前進がみられれば、リスクオン(リスク選好)が強まりそうです。その場合には円が軟調に推移して、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は上値を試す展開になる可能性があります。NZドル/円は、200日移動平均線(9日時点で87.633円に位置)を上抜けるかもしれません。
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