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【株価指数】米中通商交渉や米議会の減税審議、金融政策見通しなど

2025/06/09 07:58

【ポイント】
・9日にロンドンで米中通商交渉
・米議会の減税法案審議と国債入札、債券市場の反応は?
・賃金・物価関連指標で金融政策見通しは変化するか

(先週のレビュー)

主要株価指数は、鉄鋼・アルミ関税の引き上げ(25%⇒50%)や米中交渉などトランプ政権の関税政策に影響を受けつつ、比較的小動きの展開でした。

日経平均は、3万8,000円手前で揉み合いました。3日の10年物国債入札は比較的良好な結果となり、長期金利(10年物国債利回り)は低下しました。ただ、日米通商交渉の先行きが不透明ななかで、円高が株式市場で嫌気される場面もありました。

NYダウS&P500ナスダック100の米株は、週末にかけて上昇しました。ISM非製造業景況指数など弱い経済指標を嫌気して週中に下落する場面もありました。5日にはトランプ大統領とマスク氏がお互いを非難しあったため、テスラ株が急落しました。しかし、6日に発表された5月雇用統計が比較的堅調だったことで(労働市場軟化の兆候も散見されましたが)、主要株価指数は反発しました。

英FTSE100は、堅調が持続しました。米英が真っ先に関税交渉で合意したことで関税に関する懸念が小さく、また週初のベイリーBOE(英中銀)総裁の発言などから利下げ観測が強まったことが背景でした。ドイツで企業向け減税が閣議決定され、ドイツのDAX株価指数が最高値を更新したことに引っ張られた面もあったかもしれません。


(今週の相場材料)

トランプ政権の通商政策に関わる報道が、引き続き主要株価指数の相場材料となりそうです。9日には2回目の米中閣僚級協議がロンドンで開かれる予定です。中国によるレアアース(希土類)の輸出規制で高まった米中間の緊張緩和に向けて進展はあるでしょうか。

先週末に開催された日米関税交渉では目立った成果はなかったようです。今後の日程は未定ですが、15-17日のカナダG7サミットでの実現を目指す日米首脳会談に向けて相場材料が出てくるかもしれません。

米国議会では上院がトランプ減税を実現するための予算調整法案の審議を本格化させます。市場ではトランプ減税が財政赤字を拡大させるとの懸念は強く、政権を離脱したマスク氏も同法案を強く非難しています。しかし、共和党は同法案の成立に向けて前進する意向です。

目先の注目ポイントは、同法案に対して上院が財政赤字を拡大させないような修正を加えるかどうか。財政赤字拡大の懸念が強まれば、債券市場が金利上昇という形で警鐘を鳴らすかもしれません。

今週は、米国で10-12日に3年、10年、30年の国債入札が実施されます。また、11日に5月CPI(消費者物価指数)、12日にPPI(生産者物価指数)、13日にミシガン大学消費者信頼感調査(とくに期待インフレ率)が発表されます。英国では10日の4月賃金統計が注目されます。それらに対する市場の反応にも要注意かもしれません。

来週、17日に日銀、18日に米FRB、19日に英BOEの政策会合の結果が判明します。今週はそれらに向けて市場の金融政策見通し(の変化)が相場材料になりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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