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英CPI上振れなら利下げ観測後退!? 英ポンド/米ドルは4月の高値を超えるか

2025/05/21 07:52

【ポイント】
・4月英CPIは総合・コアとも上振れ予想
・公共料金引き上げなど一時的要因あるも、インフレ高止まりの懸念も
・BOEの3カ月に一度の利下げペースに変化は生じるか

本日21日(日本時間15:00)発表の英国の4月CPI(消費者物価指数)は総合、コアとも前年比の伸びが3月から高まると見込まれています。

4月CPI総合 市場予想 前年比3.3% (3月実績同2.6%)
4月CPIコア 市場予想 前年比3.6% (3月実績同3.4%)
※コアは、エネルギー・食料・酒・タバコを除く

「エネルギー・食料・酒・タバコ」は1年前に大きく下落した反動が出そうです。また、それらを除くコアについても、国民保険の拠出金や公共料金などが4月に引き上げられており、その影響が出るとみられます。

英国のCPIは昨年半ばまでは順調に伸びが鈍化していましたが、その後は横這い~やや反発しています。とりわけ、賃金の伸びが高止まりしていることで、サービス価格が高い状態が続いています(直近3月のCPIサービスは前年比4.7%)。

英CPI

BOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)は昨年11月以降、3カ月に1回(2会合につき1回)のペースで0.25%の利下げを行ってきました。5月8日のMPCで0.25%の利下げを決定しましたが、票決は割れました。0.25%利下げの支持が5人、2人が0.50%利下げを支持、残る2人が据え置きを支持しました。

大幅利下げ支持の根拠は、トランプ関税に伴う不確実性の高まりが景気の重石になるとして予防的な措置が必要と判断されたことでしょう。一方で、据え置き支持の根拠は上述の通りインフレが引き続き高水準にあることでしょう。

BOEチーフエコノミストのピルMPC委員は20日、インフレが依然として高いとして、3カ月に1回の利下げペースは速すぎるとの見解を表明しました。

20日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む0.25%利下げの確率は次回6月19日のMPCで8%、8月のMPCまでで67%です。4月CPIの上振れはある程度想定されているでしょうが、それらの確率がどう変化するか、要注目でしょう。

BOE金融政策見通し

英ポンド/米ドルは25年に入って堅調に推移しています。利下げ観測が後退するなどして今年4月29日につけた1.34379ドルを抜けると、当時与党だった保守党の弱体化~トラスショックが起きる以前の22年2月以来の高値をつけることになります。

■英ポンド/円については、本日のテクニカル・ポイント「英ポンド/円、下値固め模索の時間帯!英4月CPIが相場動意となるか」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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