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日銀は政策金利を据え置きへ!?

2025/05/01 08:57

【ポイント】
・植田総裁の会見で日銀の追加利上げ観測が後退するか
ISM製造業景況指数などで米景気の先行きへの懸念が強まるか

(欧米市場レビュー)

4月30日、欧米時間の外為市場ではカナダドルが堅調に推移。米ドル/カナダドルは一時1.37689カナダドルへと下落し、24年10月中旬以来6カ月半ぶりの安値を記録。カナダドル/円は103.767円へと上昇する場面がありました。トランプ米大統領が「カーニー・カナダ首相から29日に電話があり、取引をしようと言ってきた。カーニー首相は今後1週間以内にホワイトハウスを訪れるだろう」と述べました。米国とカナダの貿易協議進展への期待感が市場で高まり、カナダドルの支援材料となったと考えられます。

豪ドルは底堅い展開。一時豪ドル/NZドルは1.08051NZドル、豪ドル/円は91.658円へと上昇しました。豪州の1-3月期CPI(消費者物価指数)が前年比2.4%、CPIトリム平均値が同2.9%と、いずれも市場予想(2.3%と2.8%)を上回ったことが、豪ドルの支援材料となりました。トリム平均値がRBA(豪中銀)のインフレ目標レンジ(2~3%)に収まったのは、21年10-12月期以来およそ3年ぶりです。

(本日の相場見通し)

本日は、日銀の金融政策決定会合が開かれます。会合の結果は通常日本時間正午頃に発表され、15時30分から植田日銀総裁が会見します。

トランプ関税の影響を見極めるため日銀は政策金利を据え置くと市場は予想しています。

その通りの結果になれば、植田総裁の会見や展望レポートが材料になりそう。これらではトランプ関税の影響についてどのような認識が示されるかに注目です。

関税は輸出需要を減退させて景気の下押し要因になります。植田総裁が会見でそれを警戒する姿勢を示せば、市場では追加利上げ観測が一段と後退しそうです。その場合にはのマイナス材料となり、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は堅調に推移する可能性があります。

4月30日の『ファンダメ・ポイント』は、[米景気低迷と日銀会合の注目点]です。

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米国の4月ISM製造業景況指数先週分の新規失業保険申請件数が本日発表されます。

市場予想は、ISM製造業景況指数が48.0、新規失業保険申請件数が22.2万件。前者は3月の49.0から低下し、業況判断の分かれ目である50を引き続き下回るとみられています。

今週発表された米国の経済指標は以下のように弱めの結果が目立ちます。
・4月消費者信頼感指数:86.0(市場予想:87.5)
・JOLTS(労働動態調査)求人件数:719.2万件(同748.0万件)
・4月ADP雇用統計(前月比):6.2万人増(同11.5万人増)
・1-3月期GDP速報値(前期比年率):マイナス0.3%(同プラス0.2%)

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[米1-3月期GDPはマイナスも、評価は難しく・・]です。

ISM製造業景況指数や新規失業保険申請件数が市場予想と比べて弱い結果になれば、市場では米景気の先行きをめぐる懸念が強まりそうです。その場合、米ドルのマイナス材料となり、米ドル/カナダドルは軟調に推移し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移する可能性があります。

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本日は、メーデーでドイツ・ノルウェー・スウェーデン・メキシコ・トルコ・南アフリカ・が祝日です。

外為市場では参加者が減少して流動性が低下する分、値動きが増幅される可能性があります。トランプ関税や貿易協議についての追加的なニュースに注意は必要です。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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