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マイナス成長の可能性とトランプ減税の行方

2025/04/29 08:17

【ポイント】
・米1-3月期GDPは減速しそう。マイナス成長も⁉
・トランプ大統領の経済運営に国民からの支持低下
・議会は大規模な減税を成立させることができるか

明日30日に発表される米国の1-3月期GDPは、市場予想では前期比年率0.3%と、前期(同2.4%)から減速が見込まれています。

アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)-2.5%と予測しています。ただし、アトランタ連銀によれば、金(ゴールド)の輸出入の取り扱いが、正式にGDPを発表する商務省と異なっており、それを調整した1-3月期GDPの予測は-0.4%です。それでも、1-3月期がマイナス成長となれば、リセッション(景気後退)やスタグフレーション(景気停滞下での高インフレ)が一層現実味を帯びることになりそうです。

GDPNow

トランプ大統領の経済政策に対する一般市民の不満が高まっています。27日発表のCNN調査によるとトランプ大統領の経済運営を支持するとの回答は39%となり、トランプ政権1期目、2期目を通じて最低水準となりました。関税を支持するとの回答も39%。

30日はトランプ大統領の就任から100日目。トランプ大統領から議会に対して減税の成立を求める圧力が強まりそうです。トランプ大統領は27日にSNSで、年収20万ドル未満の層に対する所得税率の引き下げを示唆しました。関税収入を財源とする意向のようですが、関税交渉が行われているなか、関税収入が十分な財源となり得るのか疑問の残るところでしょう。

28日にはイースター休暇明けの下院が再開しました。この日、ベッセント財務長官、ハセットNEC(国家経済会議)委員長、ジョンソン下院議長ら共和党幹部が会合を持ち、減税法案の進め方について協議したようです。

ベッセント長官は7月4日(独立記念日)を減税成立の期限に設定したとのこと。議会は、25年末に期限が到来する17年トランプ減税の延長/恒久化、法人税率の引き下げ、チップ収入の非課税化など大規模な減税を実現させ、かつその財源としてメディケイド(低所得層向け医療保険)など義務的支出に切り込むことができるか。今後の進展が注目されます。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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