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米ドル軟調、米中協議実施を中国は否定

2025/04/25 08:58

【ポイント】
・貿易協議実施をめぐり米中の認識に違い
・トランプ関税や米中貿易協議で新たなニュースが出てくれば、市場が反応しそう

(欧米市場レビュー)

24日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は142.266円、米ドル/カナダドルは1.38356カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.13922ドル、英ポンド/米ドルは1.33435ドルへと上昇しました。

中国外務省の郭嘉昆報道官が会見で「中国と米国は関税についての協議や交渉を行っていない」と述べました。これを受けて米中貿易摩擦緩和への期待が後退し、米ドルに対する下押し圧力になりました。また、米国の3月中古住宅販売件数が年率換算402万件と市場予想の413万件を下回ったことも、米ドルの重石となりました。

(本日の相場見通し)

加藤財務相とベッセント米財務長官は米東部時間24日(日本時間25日)、ワシントンで会談しました。

加藤財務相は会談後に会見し(日本時間25日午前6時過ぎ)、ベッセント長官との会談では「為替の過度な変動や無秩序な動きは経済・金融に悪影響を与える」との認識や「為替レートは市場において決定される」との原則を再確認したことを明らかにしました。また、「米国から為替水準の目標(設定)やそれに対する枠組みの話は全くなかった」と述べました。

ベッセント長官が23日に日本との貿易交渉では「特定の通貨目標は念頭にない」と述べていたこともあり、加藤財務相の発言に対する市場の反応は今のところ限定的です。

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トランプ政権の関税や米中貿易協議についてのニュースに引き続き要注意です。

米中貿易協議については、両国の認識には違いがあるようです。

前述の通り、中国外務省報道官は米国との貿易協議実施を否定しました。これに対してトランプ米大統領は「彼らと24日午前に会合を開いた」と主張。ただ、会合に参加したメンバーを記者団に問われると、トランプ大統領は「誰が参加したのかは重要ではない。彼らと今朝会合を開いた。中国との協議は行われている」と述べました。

トランプ政権の関税や米中貿易協議について新たなニュースが出てくれば、材料になりそうです。仮に米中貿易摩擦緩和への期待が市場で後退するようなら、米ドルのマイナス材料となり、米ドル/円や米ドル/カナダドルは軟調に推移し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移する可能性があります。

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米国の4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が本日発表されます(日本時間23:00)。

ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想の50.8からかい離する、あるいは1年先と5年先のインフレ期待が速報値(それぞれ6.7%と4.4%)から修正されれば、市場が反応しそうです。

ヘッドラインの数値が市場予想を下回る、あるいはインフレ期待が下方修正されれば、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測が強まるとともに、米ドルのマイナス材料になると考えられます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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