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「関税」で荒れるなか「減税」が静かに前進!?

2025/04/11 08:08

【ポイント】
・米議会が「減税」の前提となる予算決議を可決
・「減税」を盛り込む予算調整法案は共和党だけで可決可能
・もっとも共和党も一枚岩ではなく、今後の審議は難航も⁉

トランプ政権の相互関税に絡んでマーケットの乱高下が続いています。10日のNYダウは前日終値から一時2,000ドル超下落した後に反発し、1,014ドル安で引けました。米ドル/円は148円近くから一時144円を割り込みました。

「トランプ減税」実現へ向けて
マーケットが「関税」に振り回されるなか、「減税」の実現に向けた動きが前進しています。上院が5日に、下院が10日に予算決議を可決しました。上院では51対48、下院では216対214のいずれも僅差。予算決議は、予算の大枠を決める設計図のようなもの。今回可決された予算決議は、今後10年間で約5兆ドルの減税(17年トランプ減税の延長+新たな減税1.5兆ドル)5兆ドルのデットシーリング(債務上限)引き上げ40億ドルの歳出削減などを含みます。これをベースに、実際に減税を立法化するための予算調整法案が審議されます。

予算調整法案は通常の法案と異なり、上院でのフィリバスター(少数政党による採決妨害)が使えないので、民主党の協力なしで共和党だけで成立させることが可能です。予算決議の可決は減税の実現に向けた前進と言えるでしょう。

もっとも、共和党内でも、大幅な歳出削減を求める財政保守派や、一方でメディケイド(低所得層などに向けた医療保険)など福祉関連支出の維持を求める穏健派などは予算決議に諸手を挙げて賛成というわけではなさそうです。予算調整法案の審議が難航する可能性もあるでしょう。

ジョンソン下院議長は、5月26日のメモリアルデーまでの減税成立を目指しています。上院は夏ごろの成立を視野に入れているようです。財務省の特別措置が尽きてデットシーリングが限界に達するのが夏ごろとされており、それが実際の期限となりそうです。ただし、4-5月の税収が想定を下回れば、デットシーリングの期限が前倒しになる可能性もあるようです。減税の行方にも注目すべきでしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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