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トランプ政権は相互関税の上乗せ措置を発動へ

2025/04/09 09:11

【ポイント】
・相互関税への各国の対応
・貿易摩擦が一段と激化するとの懸念が高まれば、さらなるリスクオフも
RBNZNZ中銀)はどの程度利下げするか
RBNZの声明などで5月以降の金融政策についてのヒントが示されるか

(欧米市場レビュー)

8日、欧米時間の外為市場ではが堅調に推移。一時米ドル/円は145.951円、ユーロ/円は159.943円、豪ドル/円は86.878円、NZドル/円は80.699円へと下落しました。ホワイトハウスのレビット報道官が記者会見で「中国に対して104%の関税を9日に発動する」と発言。米中貿易摩擦が激化するとの懸念から米国株が軟調に推移するなか、リスクオフ(リスク回避)が強まったことが、円高圧力となりました。

(本日の相場見通し)

トランプ政権は米東部時間午前0時1分(日本時間午後1時1分)、相互関税の上乗せ措置を発動する予定です。

上乗せ措置が実際に発動された場合、中国などの対応に注目です。トランプ大統領が2日に中国からの輸入品に34%の相互関税を課すと発表すると、中国は4日に「米国からの輸入品すべてに34%の追加関税を10から課す」と発表しました。また、トランプ大統領が7日にSNSで対中関税をさらに50%上乗せする可能性に言及すると、中国は8日に「米国の脅しを決して受け入れない。米国が自らの考えだけで行動するなら、最後まで付き合う」と表明し、対抗する考えを示しました。

米中などの貿易摩擦が激化するとの懸念が一段と高まる場合、リスクオフがさらに強まりそう。その場合には円が堅調に推移して、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)に対して下押し圧力が加わる可能性があります。豪ドル/の目先の下値メドとして、23年3月安値の85.995が挙げられます。

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FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公表されます(日本時間10日午前3時)。政策金利の据え置きを決定した3月18-19日のFOMCのものです。

FRB(米連邦準備制度理事会)の先行きの金融政策について、3月FOMC時の声明やパウエルFRB議長の会見以上の手掛かりが議事録で示されれば、市場が反応しそうです。FRBの追加利下げ観測が一段と強まる場合、米ドルのマイナス材料になる可能性があります。

※3月FOMCについて詳しくは、3月20日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCは据え置き、市場は「ハト派的」と判断!?]をご覧ください。

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RBNZ
(NZ中銀)の政策会合が本日開かれます。会合の結果は日本時間午前11時に発表され、総裁会見は今回予定されていません(通常は2月・5月・8月・11月の会合で実施)。

RBNZは前回2月19日の会合まで4回連続で利下げを実施しており、現在の政策金利は3.75%です。

オア総裁(当時。※)は前回会合時の会見で「経済状況が予想通りに進展すれば、4月と5月に0.25%の利下げを行う可能性が高い」と述べました。市場では、本日の会合で0.25%の追加利下げが決定されるとの見方が有力です。ただ、トランプ政権の相互関税によって世界経済の下振れリスクが高まっていることから、利下げ幅は0.50%になるとの観測も市場の一部にあるようです。

RBNZの声明や会合の議事要旨も材料になりそう。これらでは、次回5月の会合以降の金融政策についてどのようなヒントが示されるかに注目です。前回会合の声明では、「経済見通しは、インフレ率が中期的に目標レンジ内にとどまる状況と整合的であり、理事会は利下げを継続する自信がある」、「経済状況が引き続き予想通りに進展すれば、25年を通じて政策金利をさらに引き下げる余地がある」などとされました。

本日の利下げ幅が0.25%となり、声明や議事要旨が5月以降の追加利下げ観測を後退させる内容になれば、NZドルのプラス材料になりそう。その場合、豪ドル/NZドルは軟調に推移すると考えられます。

(※)RBNZでは3月5日にオア総裁が突然辞任。辞任理由は明らかにされていません。オア総裁の辞任後、副総裁のホークスビー氏が総裁代行を務めてきました。NZのウィリス財務相は4月8日、「任期5年間の総裁探しが行われている間、ホークスビー氏を6カ月間の任期で(暫定)総裁に任命する」と発表しました。ホークスビー氏の総裁任期は、さらに最大3カ月間延長される可能性があるとのことです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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