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「トランプ2.0」スタグフレーションの足音!?

2025/03/26 08:19

【ポイント】
・米消費者信頼感が低下し、インフレ期待は上昇
・「トランプ関税」の影響ならスタグフレーション的状況は悪化の可能性も

米国の3月コンファレンスボード消費者信頼感指数は92.9と、市場予想(94.0)を下回り、前月(98.3⇒100.1に修正)から低下しました。とりわけ、期待指数が65.2と前月(74.8)から落ち込んだことが大きかったようです。期待指数は4カ月連続の低下で、13年3月以来の低水準でした。

CB消費者信頼感

一方で、同調査による今後12カ月のインフレ期待は6.2%と、23年4月以来の水準まで上昇。同インフレ期待は実際のインフレ率(下図ではPCEコア)に合わせる形で22年6月をピークに鈍化傾向にありましたが、ここ数カ月で目立って上昇しました。先日発表されたミシガン大学消費者信頼感調査での「今後5-10年間のインフレ期待」もここ数カ月で大きく上昇しました。

米消費者のインフレ期待

トランプ政権の政策、とりわけ関税の連発が消費者マインドを悪化させ、インフレ期待を高めている可能性があります。4月2日やその前後には相互関税やセクター別関税の発表・発動が予定されています。トランプ大統領はそれらの柔軟適用に含みを持たせていますが、状況はさらに悪化するかもしれません。

アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)は、18日時点で1-3月期GDPを前期比年率マイナス1.8%と予測しています(最新版は26日発表)。仮に、GDPが縮小ないし停滞し、インフレ率が高まるようであれば、スタグフレーションと呼べる状況です。トランプ関税がスタグフレーション的な効果を持ちうることは以前から指摘されていました。トランプ政権は「米経済は過渡期にある」として容認の姿勢を崩さないのでしょうか。

■19日付け「米景気の現状とトランプ関税の効果は??」をご覧ください。

Bloombergの主要17通貨の3月(25日までの)騰落率で、米ドルは台湾ドル、韓国ウォンに次いで下から3番目と軟調でした(円は下から4番目)。また、S&P500株価指数は2月中旬をピークに下落、足もとではやや持ち直していますが、楽観は禁物でしょう。

今後もトランプ政権の政策が経済や市場に与える影響を注意深く見守る必要がありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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