トランプ大統領は4日に関税を発動すると改めて表明
2025/03/04 09:19
【ポイント】
・関税が発動された場合、カナダやメキシコ、中国はどう対応するか
・トランプ大統領は円安をけん制
(欧米市場レビュー)
3日、欧米時間の外為市場ではカナダドルとメキシコペソが急落。一時米ドル/カナダドルは1.45369カナダドルへと上昇し、カナダドル/円は102.534円、メキシコペソ/円は7.187円へと下落。カナダドル/円は24年8月5日以来およそ7カ月ぶり、メキシコペソ/円は24年9月13日以来およそ6カ月ぶりの安値をつけました。
米国のトランプ大統領が「4日からメキシコとカナダからの輸入品に関税を課す」、「両国に関税を回避する余地はない」と述べたことが、カナダドルとメキシコペソが下落した要因です。関税は米東部時間4日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)に発動される予定です。
円は堅調。一時米ドル/円は149.099円、豪ドル/円は92.500円、NZドル/円は83.542円へと下落しました。トランプ大統領が円安をけん制したことが、円の支援材料となりました。
トランプ大統領は会見で「日本や中国が(自国)通貨を押し下げれば、われわれに極めて不公平な不利益をもたらす。その場合には関税を少し引き上げて対応することになる」、「習近平国家主席や日本の指導者に通貨を弱体化させ続けることはできないと電話で伝えた」と述べました。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.93724スウェーデンクローナへと下落し、20年11月以来の安値をつけました。原油価格が下落したことがノルウェークローネの重石になったと考えられます。米WTI原油先物は一時1バレル=67.89ドルへと下落し、24年12月10日以来の安値をつけました。
また、20年12月以降サポートラインとして機能してきた0.95000スウェーデンクローナ水準を割り込んだことも、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナの下落が加速した一因かもしれません。
(本日の相場見通し)
トランプ政権は本日、メキシコとカナダからの輸入品に対して25%(ただし、カナダのエネルギー製品には10%)の関税を発動するとみられます。
トランプ政権はまた、2月4日から中国からの輸入品に対して10%の追加関税を課していますが、本日さらに10%上乗せする予定です(追加関税は合計20%)。
関税が実際に発動された場合、メキシコやカナダ、中国の対応に注目です。カナダ政府は米国製品に1550億カナダドル相当の対抗措置(※)をとる考えを示しており、メキシコのシェインバウム大統領は3日に「米国がどのような決定をしても、メキシコには対応する用意がある」と発言。中国の環球時報は3日に「中国製品にさらに10%の関税を課すという米国の脅しに中国政府は対抗する措置を準備している」と報じました。
(※)カナダ政府が2月1日に発表した報復関税の計画では、まずは米国からの輸入品300億カナダドル相当に関税を課し、その後3週間でさらに1250億カナダドル相当(合計で1550億カナダドル相当)に関税を課します。報復関税の税率は25%です。
中国などの対応によって世界的な貿易戦争への懸念が市場で強まれば、リスクオフ(リスク回避)が市場で強まるかもしれません。その場合には円が堅調に推移して、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円が下落する可能性があります。
※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[本日、対カナダ関税発動へ!ドルカナダは上値トライとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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上述のトランプ大統領の円安けん制発言に対し、加藤財務相は本日4日の閣議後の会見で「日本は従来から円安政策はとってない」、「先般の為替介入(米ドル売り・円買い介入)を見ればそれは理解できるだろう」と語りました。
ただ、市場ではトランプ大統領の円安をけん制する発言の方がより強く意識されるかもしれません。その場合、米ドル/円には下落圧力が加わりやすくなりそうです。
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