リスクオフが一段と強まる可能性も
2025/02/20 09:25
【ポイント】
・米政権による自動車関税などへの懸念が市場で高まるか
・クーグラーFRB理事は金融政策の先行きについて新たな手掛かりを示すか
(欧米市場レビュー)
19日、欧米時間の外為市場では円が堅調に推移。一時米ドル/円は151.238円、ユーロ/円は157.707円、豪ドル/円は95.971円、NZドル/円は86.146円へと下落しました。トランプ米政権による高率の関税への懸念や、ウクライナ戦争をめぐる米国とロシアの停戦協議の先行き不透明感が、円の支援材料となりました(リスクオフ)。
米ドルも対円を除いて堅調。一時、米ドル/カナダドルは1.42407ドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.03993ドル、英ポンド/米ドルは1.25619ドル、豪ドル/米ドルは0.63341米ドルへと下落しました。円と同様にリスクオフ(リスク回避)が米ドルの支援材料となりました。
(本日の相場見通し)
トランプ政権による関税に関する報道には注意が必要かもしれません。
トランプ米大統領は18日に「米国に輸入される自動車に対して25%前後の関税を課すだろう」と述べ、また半導体と医薬品にも同程度の関税を課す考えを示しました。
トランプ大統領は19日(日本時間20日午前)、自動車などに対する関税の詳細を「来月かそれより早く発表する」と述べました。18日には、おそらく4月2日に発表するとしていました。
追加報道によって自動車などに対する高率の関税発動への懸念が高まる場合、リスクオフ(リスク回避)が一段と強まるかもしれません。その場合には円が堅調に推移して、クロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は下値を試す展開になる可能性があります。
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本日は、米国の先週分の新規失業保険申請件数や2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されます(いずれも日本時間22:30)。
市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・新規失業保険申請件数が21.5万件(21.3万件)
・フィラデルフィア連銀製造業景況指数が20.0(44.3)
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は21年4月以来およそ4年ぶりの高水準だった前月から低下するものの、業況判断の分かれ目であるゼロを引き続き上回ると予想されています。
これらの経済指標が市場予想と比べて強い結果になれば、米ドルにとってプラス材料となり、米ドル/円や米ドル/カナダドルは堅調に推移し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移する可能性があります。
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FRB(米連邦準備制度理事会)のクーグラー理事がインフレをテーマに講演します(日本時間21日07:00)。
クーグラー理事は7日の講演で、以下のような見解を示しました。
・「最近のインフレに関する進展は緩慢で一様でもなく、インフレ率は依然として高い」
・「インフレ率は2%を超えていて、経済は堅調であり、またトランプ政権の政策が経済に与える影響についてかなりの不確実性がある。こうした状況では政策金利を当面据え置くことが賢明」
・「追加利下げに踏み切るには、インフレ率の持続的な鈍化が必要」
・「中立金利(景気を過熱も冷やしもしない金利の水準)にはまだ達していない」
本日の講演ではFRBの金融政策の先行きについて新たなヒントが提供されるかに注目。ヒントが提供されれば、市場が反応しそうです。
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