ノックセックが一時3カ月半ぶり安値、原油安が重石
2025/02/14 09:24
【ポイント】
・相互関税が即時に発動されなかったことで米ドルが軟調
・米政権による関税をめぐる報道には引き続き要注意
・原油価格は一段と下落するか
(欧米市場レビュー)
13日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は152.691円、米ドル/カナダドルは1.41783カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.04608ドル、英ポンド/米ドルは1.25623ドル、豪ドル/米ドルは0.63171米ドルへと上昇しました。
トランプ米大統領は、貿易相手国が米国製品に課している関税と同じ税率の関税を課す相互関税の導入検討を商務省とUSTR(通商代表部)に指示する覚書に署名しました。相互関税についてトランプ大統領は9日に「即時に発動させる」と述べていましたが、即時には発動されませんでした。また、トランプ大統領が商務長官候補に指名しているラトニック氏は、「調査は4月1日までに完了するだろう」と述べました。相互関税が発動されるまでには時間がかかると市場は受け止め、このことが米ドルに対する下押し圧力となりました。市場では、関税によって米国内のインフレ圧力が強まるとの見方があります。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(ノックセック)は一時0.96090スウェーデンクローナへ下落し、24年10月28日以来3カ月半ぶりの安値を記録。原油価格が軟調に推移したことが、ノルウェークローネの重石となりました(詳細は後述)。
(本日の相場見通し)
上述の通り、13日は相互関税についての報道が材料になりました。トランプ大統領は、自動車・半導体・医薬品にも関税を課す考えも示しています。また、トランプ政権は米国に輸入される鉄鋼・アルミに25%の関税を3月12日から課す予定です。
トランプ政権による関税をめぐる報道には引き続き注意が必要です。追加報道によって米国内のインフレ圧力が強まるとの見方が市場で強まる場合、米ドルが堅調に推移しそうです。
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本日、米国の小売売上高や鉱工業生産が本日発表されます(いずれも1月分)。これらの結果が材料になる可能性があります。
市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・小売売上高(前月比):マイナス0.1%(0.4%)
・小売売上高(除自動車。前月比):0.3%(0.4%)
・鉱工業生産(前月比):0.3%(0.9%)
これらが市場予想と比べて良好な結果になれば、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が一段と市場で後退するとともに、米ドルにとってプラスになる可能性があります。
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原油価格が軟調に推移しています。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物の3月物は13日、一時バレル=70.22ドルへと下落。中心限月として24年12月30日以来1カ月半ぶりの安値をつけました。
トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は12日に電話会談し、ロシアとウクライナの戦争終結に向けて交渉を開始することで合意しました。停戦が実現すれば、対ロシア制裁が解除されてロシア産原油の供給が増えるとの観測が、原油価格への下押し圧力となりました。
原油安は資源国通貨であるノルウェークローネにとってマイナスです。原油価格が一段と下落する場合、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは引き続き軟調に推移しそうです。
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