関税をめぐる報道に引き続き要注意
2025/02/10 09:03
【ポイント】
・米大統領は相互関税を導入する考えを示す
・米大統領はまた、鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課すと表明
・中国が対米追加関税を発動した場合の米国の対応
・CPIでノルウェー中銀の利下げ観測が強まるか
(欧米市場レビュー)
7日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.03062ドル、英ポンド/米ドルは1.23746ドル、豪ドル/米ドルは0.62512米ドルへと下落しました。貿易相手国が米国製品に課している関税と同じ税率の関税を課す「相互関税」を導入する考えをトランプ米大統領が示し、このことが米ドルの支援材料となりました。市場では、関税によって米国のインフレ圧力が強まるとの見方があります。
(本日の相場見通し)
トランプ米大統領は米東部時間9日(日本時間10日午前)、「米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を課す。10日に発表する」と述べました。また、相互関税の詳細を11日か12日に発表し、ほぼ即時に発効させるとの考えも示しました。
中国は10日に、米国からの輸入品の一部に最大15%の追加関税を発動する予定です。中国が対米追加関税を発動した場合、米国の対応にも注目です。
トランプ政権による関税についての報道が新たに出てくれば、市場が反応しそうです。追加報道によって鉄鋼・アルミ関税や相互関税などの導入への懸念が一段と強まる場合、米国でインフレ圧力が強まるとの見方から米ドルが堅調に推移しそうです。米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わる可能性があります。
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ノルウェーの1月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間16:00)。この結果にノルウェークローネ/スウェーデンクローナが反応しそうです。
CPIの市場予想は総合指数が前年比2.2%、CPI-ATE(税制改革の影響やエネルギー製品を除いた基礎。コアインフレ率)が同2.6%です。総合CPIとCPI-ATEの上昇率はいずれも、ノルウェー中銀のインフレ目標である2%を引き続き上回るものの、CPI-ATEについては前月の2.7%から鈍化するとみられています(総合CPIは前月と同じになるとの予想)。
ノルウェー中銀は23年12月に利上げを実施して以降、政策金利を4.50%に据え置き続けています。ただ、前回25年1月の会合時に「政策金利は3月に引き下げられる可能性が高い」との認識をノルウェー中銀は示しました。
ノルウェー中銀の次回政策会合は3月27日です。本日発表のCPIが市場予想を下回る結果になれば、次回会合で利下げが行われる可能性が一段と高まるとともに、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは軟調に推移しそうです。
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