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1月米雇用統計は14.3万人増、総じて雇用は堅調。年次改定の影響は限定的!?

2025/02/08 06:52

【ポイント】
・NFPは市場予想を下回ったものの、11-12月分は上方修正
・失業率・労働参加率はほぼ横ばいで推移
・総じて労働市場の堅調は続いていると判断できそう
・市場は25年中2回の利下げを疑問視している模様
・2月11-12日の議会証言でパウエル議長は何を語るか

米国の1月雇用統計はNFP(非農業部門雇用者数)が市場予想を下回りました。ただ、昨年11-12月分が大幅に上方修正されたことで、足もとの雇用情勢は悪くないと判断できそうです。

雇用統計の発表を受けて長期金利(10年物国債利回り)は上昇(※)。米ドル/円は小幅に下落しましたが、米ドル指数(実効レート)は上昇しました。

※ヘッドラインが弱かったので、発表直後は瞬間的に低下。

米長期金利

市場は引き続き6月FOMCで利下げが決定される可能性が高いとみているようですが、その確率はやや低下しました。7日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、25年中に0.25%×2回の利下げが行われる確率を市場は4割程度とみているようです。

米金融政策見通し

2月11-12日の議会証言で、パウエルFRB議長は景気や物価にどんな判断を示すか、そして金融政策に関してどのようなヒントを出すか、大いに注目されます。

アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、雇用統計発表後に今年1-3月期GDPは前期比年率2.9%と予測されています。今後の経済統計次第で予測値が大きく変わる可能性はありますが、米景気の25年の滑り出しは悪くないようです。

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1月雇用統計では、事業所調査のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比14.3万人増と、市場予想(17.5万人増)を下回りました。ただ、昨年11-12月分が計10万人上方修正されたので、3カ月移動平均は23.7万人増と堅調。3カ月移動平均は昨年8月まで鈍化傾向でしたが、その後は徐々にペースが上がっています。

米雇用統計NFP

時間当たり賃金は前年比4.1%増と、引き続きインフレ率(12月PCEコアは前年比2.8%)を上回ってそこそこの伸びが続いています。また、<雇用者数×週平均労働時間×時間当たり賃金>で求められる総賃金指数は前年比5.0%増で、こちらも比較的堅調が続いています。

時間当たり賃金

労働総賃金

家計調査に基づく失業率は4.0%。年次改定により厳密には連続性がないものの、昨年12月より0.1%低い水準。同様に労働参加率<(雇用者数+失業者数)/生産年齢人口>は62.6%とほぼ横ばいで推移しています。コロナ・ショック後の回復(上昇)段階は終了したと判断できそうです。
失業率

労働参加率

【補足】年次改定
年次改定では、24年3月時点のNFPの水準(季節調整前の原数値)が81.8万人下方修正されることがわかっていましたが、今回発表された季節調整後では58.9万人の下方修正でした。24年3月以降もNFPの水準は下方修正されました。24年年間の雇用増加ペースは18.6万人増/月⇒16.6万人増/月に下方修正されました。修正幅は比較的小さかったと言えそうです。

NFP年次改定

事業所調査は過去5年分が遡及改定され、それ以前についても細かな修正はあったようです。家計調査も1月分からは新しい人口推計などが反映されていますが、昨年12月以前の改定はありません。厳密には昨年12月⇒今年1月のデータには連続性がありません。

■年次改定の詳細については、5日付け「【徹底解説】雇用統計の年次改定について」をご覧ください。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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