米国は対中追加関税を発動、中国は報復措置を発表
2025/02/05 09:17
【ポイント】
・米中首脳会談や関税について新たな報道が出てくるか
・米経済指標で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
4日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は154.176円、米ドル/カナダドルは1.42991カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.03821ドル、英ポンド/米ドルは1.24877ドル、豪ドル/米ドルは0.62573米ドルへと上昇しました。米国の24年12月JOLTS(労働動態調査)で求人件数が760.0万人と、市場予想の800.0万人を下回ったことや、同国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルの重石となりました。
米国は米東部時間4日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)、予定通り中国からの輸入品の関税を10%引き上げました。
その数分後、中国政府は報復措置を発表。「米国から輸入する石炭やLNG(液化天然ガス)に15%の、原油・農業機械・一部自動車などに10%の追加関税を10日から課す」とし、また「タングステン・テルル・モリブデンなどの輸出規制を行う」などとしました。
(本日の相場見通し)
トランプ米大統領は4日、記者団から中国の報復措置について聞かれると「問題ない」と答えました。また、中国の習近平国家主席との電話会談に関しては「適切な時期に話すだろう。急いでいない」とトランプ大統領は述べました。一方で、ホワイトハウスのレビット報道官は、米中首脳会談は近いうちに行われるとの見通しを示しました。
米中首脳会談やトランプ大統領による関税(対中以外でも)についての報道が新たに出てきた場合、市場が反応しそうです。仮に米中首脳会談が実現すれば、両国の貿易摩擦への懸念が市場で後退するとともに、リスクオン(リスク選好)の動きが強まる可能性があります。
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本日は、米国の1月ADP雇用統計やISM非製造業景況指数が発表されます。これらの結果が材料になる可能性があります。
市場予想はADP雇用統計が前日比15.0万人増、ISM非製造業景況指数が54.3です。ADP雇用統計は前月の12.2万人から増加ペースが高まり、ISM非製造業景況指数は前月の54.1から上昇して業況判断の分かれ目である50を7カ月連続で上回るとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は3月と5月の会合で政策金利を据え置いて6月に利下げを行うとの見方が優勢です。CMEのFedWatchツールによると、3日時点で市場が織り込む利下げの確率は3月18-19日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で14%、5月6-7日のFOMCまでで約3割、6月17-18日のFOMCまでで約6割です。
ADP雇用統計やISM非製造業景況指数が市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が後退すると考えられます。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。ユーロ/米ドルの下値メドとして、1.01733ドル(1/13安値)が挙げられます。
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