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【株価指数】トランプ政権誕生を株式市場は好感するか

2025/01/20 07:15

【ポイント】
・先週の日経平均は下落、米株価は上昇、英株価は最高値を更新
・長期金利の低下が株価上昇要因。英株高は通貨安も背景
・トランプ政権誕生直後の大統領令はどうなる?

(先週のレビュー)

主要株価指数は内外で明暗を分けました。日経平均は軟調で、ザラ場で昨年12月初め以来の水準まで一時下落。NYダウS&P500ナスダック100はいずれも週末にかけて上昇。FTSE100大幅に上昇して昨年5月につけた最高値を更新しました。

世界的に上昇していた長期金利が大きく低下に転じたことが、主要株価指数を押し上げました。米国の12月CPIが市場予想を下回ってインフレ懸念が後退したこと、比較的堅調な経済指標もあった中でFOMC関係者が利下げに前向きな発言をしたことなどが米長期金利低下の背景でした。また、英国では12月CPI11月GDPが弱めだったことで次回2月の会合でBOE(英中銀)の利下げ観測が高まりました。

ただ、日経平均は長期金利の低下よりも円高が進んだことが重石になった模様です。日銀の植田総裁や氷見野副総裁が相次いで今週23-24日の会合で利上げ(の可否)を判断すると発言。利上げ観測が高まったことが円高の背景です。

一方、FTSE100については、長期金利の低下に加えて英ポンド安が進んだこともあり、低迷する国内景気に影響を受けにくい国外売上高の比重が大きい国際株、とりわけ原油高を好感した大型石油株が上昇をけん引しました。具体的にはシェル(石油)、BP(同)、アストラゼネカ(製薬)、バークレイズ(金融)などが好調でした。


(今週の相場材料)

今週は20日に米トランプ政権が誕生、23-24日には日銀の金融政策決定会合が開催されるため、波乱含みの展開となるかもしれません。

トランプ政権は、25年末に期限が到来するトランプ減税の延長や新たな減税、関税引き上げ、移民規制強化など選挙公約の実現に向けて次々と動きをみせるでしょう。まずは、議会での立法化や承認が必要のない大統領令を就任直後に頻発しそうです。関税引き上げ移民規制強化パリ協定からの離脱などが対象となりそうです。また、議会では予算審議に絡んで減税案を立法化しようとの動きもみられるかもしれません。

関税引き上げはインフレ要因であり、長期金利の上昇を通じて株価のマイナス要因となる可能性があります。一方で、減税、とりわけ法人減税は株価のプラス要因であり、両者の綱引きの中で株価がどう反応するか要注目でしょう。

23-24日の日銀の金融政策決定会合では0.25%の利上げが決定される可能性が高そうです。市場は7-8割程度の確率で利上げを織り込んでいます。利上げの有無に加えて、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」植田総裁の記者会見で金融政策の先行きに関してどのようなヒントが示されるかも重要。会合の結果や展望レポートは24日正午前後に発表されます。植田総裁の記者会見は同午後3時30分開始なので、東証の取引終了後です。記者会見に対する為替相場や海外市場の反応は来週初の日経平均の相場材料となりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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