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米ドル/円が158円台へ上昇、約6カ月ぶりの高値

2025/01/08 08:54

【ポイント】
・米経済指標やFOMC議事録などでFRBの追加利下げ観測が一段と後退するか
・CPIでスウェーデン中銀の追加利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

7日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は158.376円、米ドル/カナダドルは1.34623カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.03401ドル、英ポンド/米ドルは1.24779ドル、豪ドル/米ドルは0.62265米ドルへと下落しました。米国の24年11月ISM非製造業景況指数が54.1、11月JOLTS(雇用動態調査)求人件数が809.8万件と、いずれも市場予想(53.3と770.0万件)を上回ったことが、米ドル高材料となりました。

※ISM非製造業景況指数とJOLTSについては、本日8日の『ファンダメ・ポイント』[ユーロ圏CPI、米ISM、JOLTS、欧米金融政策]にて詳しく解説していますのでご覧ください。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の12月ADP雇用統計先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(それぞれ日本時間22:15と22:30)。

市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げペースが今後鈍化すると予想されており、このことが足もとの米ドル高の主な要因になっています。CMEのFedWatchツールによれば、市場が織り込むFRBの利下げ確率は次回1月28-29日のFOMCで6%程度、次々回3月18-19日のFOMCまでで4割程度、さらにその次の5月6-7日のFOMCまでで5割程度です(日本時間07:44時点)。

市場予想はADP雇用統計が前月比14.0万人増、新規失業保険申請件数が21.8万件です。これらが市場予想と比べて良好な結果になれば、FRBの追加利下げ観測が一段と後退するとともに、米ドルが堅調に推移しそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。

加藤財務相は7日、足もとの“円安”について「一方的、急激な動きがみられる」、「投機的な動きを含め為替市場の動向を憂慮しており、行き過ぎた動きに対しては適切な対応をとる」と述べました。これまでと同じで発言にサプライズはありません。今後、加藤財務相や三村財務官などが“円安”をけん制するトーンを強めるようなら、米ドル/はいったん下落しそうです。


本日はまた、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(日本時間9日04:00)が公表され、ウォラーFRB理事がパリで「経済見通し」をテーマに講演します(同8日22:00)。

前回12月のFOMC以降、ウォラー理事の米経済やFRBの金融政策に関する発言は伝わっていません。FOMC議事録を含めてFRBの金融政策の先行きについてのヒントが示されれば、材料になりそうです。

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スウェーデンの12月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間16:00)。

総合CPIの市場予想は前年比1.0%、住宅ローン金利変動の影響を除外したCPIFは同1.7%です。上昇率は総合CPIとCPIFのいずれも前月(1.6%と1.8%)から鈍化し、スウェーデン中銀のインフレ目標の2%を引き続き下回るとみられています。

スウェーデン中銀は24年5月に利下げを開始し、前回12月の政策会合まで合計1.50%の利下げを実施。現在の政策金利は2.50%です。前回会合時の声明では「現在の見通しに基づけば、25年前半に再び利下げする可能性がある」との認識が示される一方で、「今後の金利調整(追加利下げ)の必要性を慎重に判断する」ともされました。

総合CPIやCPIFが市場予想を下回る結果になれば、次回1月29日の会合での追加利下げ観測が市場で強まりそうです。追加利下げ観測が強まる場合、スウェーデンクローナが軟調に推移して、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは上昇する可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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