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【株価指数】米主要株価指数は高値更新。翌週にFOMC等を控えて動き辛い展開か

2024/12/09 08:18

【ポイント】
・NYダウは週中、S&P500とナスダック100は週末に高値更新
・来週のFOMCや日銀会合を控えて方向感は出にくそう
・フランス、韓国、シリア(中東)の政治情勢にも要注目

(先週のレビュー)

主要株価指数は総じて堅調。NYダウは週中に高値を更新してやや軟化。S&P500ナスダック100は高値を更新して週を終えました。日経平均FTSE100は週前半に上昇した後にやや軟調となりました。

先週は、ヒズボラがイスラエルを攻撃して停戦に暗雲が広がったこと、韓国での戒厳令や大統領弾劾の動き、フランス議会での内閣不信任決議を受けたバルニエ首相の辞任など、政治不安の高まりがありましたが、主要株価指数への影響は軽微でした。

米国では、大型ハイテク株がリードする形で、主要株価指数は堅調なスタート。4日にはパウエルFRB議長「景気は著しく良好」と発言して株高を後押し。6日の11月雇用統計はマチマチの内容だったものの、市場は失業率の上昇に着目し、17-18日のFOMCでの利下げ観測が高まりました。NYダウは雇用統計発表直後の上げが続きませんでしたが、S&P500とナスダック100は高値を更新。とりわけ、ナスダック100の上昇が目立ちました。

前週末に報じられた植田日銀総裁のインタビューで、利上げに前向きの姿勢が示されたことで、週明けの日経平均は金融株にけん引されて上昇。3日には米国による規制対象外となったことで半導体関連株が上昇し、日経平均は大幅続伸しました。その後は週末の雇用統計待ちで揉み合いとなりました。


(今週の相場材料)

今週は、米FRBや日銀の政策会合を翌週に控えて、動きにくい展開か。また、13日は12月の先物・オプション特別清算指数の算出(メジャーSQ)があるため、週後半は限月交代に伴うロールオーバーが中心となりそうで、日経平均に方向感は出にくいかもしれません。

もっとも、金融政策に絡む思惑が相場材料になりそうです。具体的には、米国のCPI(消費者物価指数)や日銀短観など。今週は前哨戦として、RBA(豪中銀)、BOC(カナダ中銀)、ECB(欧州中銀)の政策会合があり、マーケットの地合いに影響するかもしれません。

米国の12月CPI(前年比)は22年半ばをピークに伸び率が鈍化してきましたが、足もとで改善が遅れています。2%のインフレ率達成までの「ラストマイル」が遠いことをFRBは十分に認識しているようです。市場は17-18日のFOMCで0.25%利下げが決定されることをほぼ確実視しています。それは、CPIがよほど大きく上振れしない限り揺るがないでしょう。ただ、先行きの利下げ観測が後退して長期金利が上昇すれば、株価の下押し圧力になる可能性はあります。

日本の7-9月期の企業決算は、中国の景気低迷などを背景に低調でした。10-12月期日銀短観も前回調査から弱くなる可能性があり、その場合は日経平均の重石になるかもしれません。

市場予想では、RBAが政策金利据え置きBOC0.50%利下げECB0.25%利下げ。サプライズがなければ、市場はそれら中銀のフォワードガイダンス(金融政策の先行きに関する示唆)に注目しそうです。

地政学リスクにも引き続き注意は必要でしょう。

フランスでは、マクロン大統領が辞任を否定。最大野党RN(国民連合)のルペン氏が、25年予算の成立は可能と発言したことで、やや安心感も出ています。ただ、マクロン大統領が指名する新首相が事態をうまく収めることができるかは未知数です。

韓国では大統領の弾劾こそ不成立だったものの、事態は政治危機へと発展しつつあります。また、アサド政権が崩壊したシリアも事態は非常に流動的です。中東情勢の変化が原油価格の変動などを通して主要株価に影響を与える可能性はありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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