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米FRBやBOE(英中銀)の利下げ観測が後退、燻ぶる地政学リスク

2024/11/21 07:47

【ポイント】
・米FOMC関係者が利下げに慎重な発言、英CPIは上振れ
・ウクライナの英ミサイル使用で緊張感高まる!?
・トルコ中銀は据え置き!? 南ア中銀は利下げへ?

(欧米市場レビュー)

20日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調でした。米FOMC関係者が追加利下げに慎重な見解を表明したこと(後述)や、ウクライナが英国製長距離ミサイルでロシアを攻撃したため地政学リスクが意識されたことなどが材料となりました。

米ドル/円は155.845円まで上昇しましたが、地政学リスクが「円高」要因となったことで反落して一時155.045円まで下落しました。

英ポンドも比較的堅調。英国の10月CPIが上振れし、BOE(英中銀)の利下げ観測が後退したことが背景。OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、BOEが12月19日のMPC(金融政策委員会)で利下げする確率を市場は1割程度しか織り込んでいません。ユーロ/英ポンドは一時0.83121ポンドまで下落しました。

WTI原油価格は、地政学リスクの高まりから約10日ぶりに1バレル=70ドルを一時回復しましたが、原油在庫の増加が明らかになると反落。米ドル/カナダドルもそれに沿った動きとなりました。

■米ドル/カナダドル(ドルカナダ)のテクニカル分析は、本日の「ドルカナダ、下値固め模索のチャート形状!」をご覧ください。


(本日の相場見通し)

米FRBのボウマン理事は、インフレ抑制の進展が滞っているとして、追加利下げに慎重な姿勢で臨みたいと述べました。同理事は9月のFOMCで0.50%利下げの決定に対して、0.25%利下げを主張して反対票を投じていました。

また、クック理事は雇用とインフレのリスクは「ほぼ均衡」と指摘し、利下げの幅とタイミングは今後のデータ次第と述べました。

12月17-18日のFOMCで0.25%利下げが決定される確率は、FedWatchでは依然として5割強ですが、OIS(翌日物金利スワップ)では3割強まで低下しています。12月利下げの有無に関して市場は迷い気味ということでしょう。今後のデータやFOMC関係者の発言などで市場の観測がどう変わるか、要注目です。

本日は、フィラデルフィア連銀製造業景況指数新規失業保険申請件数が発表されます。

11月のフィラ連銀指数は市場予想が8.0、前月は10.3でした。15日に発表されたNY連銀指数は31.2と、前月のマイナス(-11.9)から大きく改善しました。NY連銀指数が単なる異常値だったのか、それとも製造業部門の改善を示唆するのか、その判断材料になりそうです。

先週の新規失業保険申請件数は市場予想が22.0万件、前週が21.7万件でした。同申請件数は10月上旬にハリケーンの影響で急増した後、順調に減少しています。先週は11月雇用統計(12/6発表)の調査週に該当するため、注目度は高そうです。

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TCMB(トルコ中銀)SARB(南アフリカ中銀)の政策会合が開催されます。

TCMBは据え置き予想。TCMBは今年3月に利上げ(45.00%⇒50.00%)して以降、7会合連続で政策金利を維持しています。インフレ率は徐々に低下し(10月CPI前年比48.58%)、実質金利がプラスになっていることもあり、近々の利下げを示唆する可能性はあります。

SARBは0.25%の利下げ予想(8.00%⇒7.75%)。10月CPIは前年比2.8%と、市場予想(3.0%)を下回って前月(3.8%)から大きく鈍化。そのこともあって、9月に続いて利下げが決定されそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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