パウエル議長のメッセージ:利下げは急がない⁉
2024/11/15 08:14
【ポイント】
・パウエル議長はダラスでの講演で利下げを急がない旨を発言
・市場のメインシナリオは、12月FOMCで「利下げ⇒据え置き」へ変化
・10月PPI(生産者物価指数)はやや上振れ
・本日の10月小売売上高やその後の指標でも金融政策見通しに変化!?
米FRBのパウエル議長は14日(日本時間15日05:00- )、経済見通しや金融政策について講演しました。パウエル議長が利下げを急がない旨の発言をしたことで、市場の利下げ観測が後退(10月PPIが上振れたことも一因か:後述)、米ドル/円は一時156.369円まで上昇しました。12月のFOMCで利下げが実施されるかどうか、市場は迷い気味です。
本日の10月小売売上高などで市場の観測が変化する可能性があり、それが長期金利(10年物国債利回り)の変化を通して米ドル/円の相場材料となるかもしれません。
14日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む12月FOMCでの0.25%利下げの確率は4割強。前日は10月CPIを受けて同確率が7割弱まで上昇していました。市場のメインシナリオ(確率5割超)が「据え置き」⇒「利下げ」⇒「据え置き」と変化したことを示しています。

■米ドル/円のテクニカル分析については、本日15日の「米ドル/円、7月23日以来となる156円台を示現!もう一段の上値トライとなるか」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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パウエル議長はダラス連銀等が主催する講演で発言。恐らく最も伝えたかったのは「米経済は、我々が利下げを急ぐべきだといういかなるサインも発していない」との一文でしょう。そして、「足もとでみられる経済の強さによって、我々が慎重に決断することが可能になっている」と付け加えました。
その他に興味深かったのは以下の点です。
議長は、景気の堅調さや物価目標への接近に改めて自信を示しました。労働市場に関して、「(コロナの影響から)多くの指標で正常化している」とし、弱かった10月雇用統計については「ハリケーンやストライキの影響で判断は難しい」と述べました。
インフレについては、2%の目標に向かっていると自信を示しつつ、「ただ、時折その道のりは凸凹だ」と注意を喚起しました。11月27日に発表される10月PCE(個人消費支出)デフレーターに関して、議長は珍しく予想を披露しました。「CPIや今週発表された他の指標を基にすれば、PCE総合は前年比2.3%、食料・エネルギーを除くコアは同2.8%」とのこと。ただ、議長の予想は現時点の市場予想と同じでした。
「トランプ政権」の経済政策に関連して、議長は「議会で立法化されるまで財政政策の影響は分からない」、「中央銀行の独立性は非常に重要であり、議会はそれを理解している」など、11月7日のFOMC後の会見での見解を繰り返しました。
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10月PPI(生産者物価指数)は、総合が前年比2.4%と、市場予想(2.3%)や前月(1.9%)を上回りました。食料・エネルギーを除くコアは同3.1%と、こちらも市場予想(3.0%)や前月(2.9%)を上回りました。上述のパウエル議長の講演でのPCE予想で、「(CPIや今週発表された)他の指標」と言及されたのは、PPIのことだとみられます。
・パウエル議長はダラスでの講演で利下げを急がない旨を発言
・市場のメインシナリオは、12月FOMCで「利下げ⇒据え置き」へ変化
・10月PPI(生産者物価指数)はやや上振れ
・本日の10月小売売上高やその後の指標でも金融政策見通しに変化!?
米FRBのパウエル議長は14日(日本時間15日05:00- )、経済見通しや金融政策について講演しました。パウエル議長が利下げを急がない旨の発言をしたことで、市場の利下げ観測が後退(10月PPIが上振れたことも一因か:後述)、米ドル/円は一時156.369円まで上昇しました。12月のFOMCで利下げが実施されるかどうか、市場は迷い気味です。
本日の10月小売売上高などで市場の観測が変化する可能性があり、それが長期金利(10年物国債利回り)の変化を通して米ドル/円の相場材料となるかもしれません。
14日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む12月FOMCでの0.25%利下げの確率は4割強。前日は10月CPIを受けて同確率が7割弱まで上昇していました。市場のメインシナリオ(確率5割超)が「据え置き」⇒「利下げ」⇒「据え置き」と変化したことを示しています。

■米ドル/円のテクニカル分析については、本日15日の「米ドル/円、7月23日以来となる156円台を示現!もう一段の上値トライとなるか」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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パウエル議長はダラス連銀等が主催する講演で発言。恐らく最も伝えたかったのは「米経済は、我々が利下げを急ぐべきだといういかなるサインも発していない」との一文でしょう。そして、「足もとでみられる経済の強さによって、我々が慎重に決断することが可能になっている」と付け加えました。
その他に興味深かったのは以下の点です。
議長は、景気の堅調さや物価目標への接近に改めて自信を示しました。労働市場に関して、「(コロナの影響から)多くの指標で正常化している」とし、弱かった10月雇用統計については「ハリケーンやストライキの影響で判断は難しい」と述べました。
インフレについては、2%の目標に向かっていると自信を示しつつ、「ただ、時折その道のりは凸凹だ」と注意を喚起しました。11月27日に発表される10月PCE(個人消費支出)デフレーターに関して、議長は珍しく予想を披露しました。「CPIや今週発表された他の指標を基にすれば、PCE総合は前年比2.3%、食料・エネルギーを除くコアは同2.8%」とのこと。ただ、議長の予想は現時点の市場予想と同じでした。
「トランプ政権」の経済政策に関連して、議長は「議会で立法化されるまで財政政策の影響は分からない」、「中央銀行の独立性は非常に重要であり、議会はそれを理解している」など、11月7日のFOMC後の会見での見解を繰り返しました。
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10月PPI(生産者物価指数)は、総合が前年比2.4%と、市場予想(2.3%)や前月(1.9%)を上回りました。食料・エネルギーを除くコアは同3.1%と、こちらも市場予想(3.0%)や前月(2.9%)を上回りました。上述のパウエル議長の講演でのPCE予想で、「(CPIや今週発表された)他の指標」と言及されたのは、PPIのことだとみられます。

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