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【株価指数】米株価指数の好調続くも、リスクオフの強まりには要注意か

2024/10/21 07:14

【ポイント】
・NYダウやS&P500はさらに最高値を更新
・イスラエルの首相私邸への攻撃でリスクオフが強まらないか
・ボーイングやテスラの決算発表、東京メトロのIPOに注目

先週(10/14- )のレビュー

米株が引き続き好調を持続。NYダウS&P500は最高値を更新して越週しました(S&P500のザラ場の高値は17日)。日経平均は15日に約3カ月ぶりに一時4万円を超えたものの、その後は軟調に推移。ナスダック100は高値圏でのもみ合い。FTSE100は堅調でしたが、週末に反落しました。

米国では、ゴールドマンサックスなどの金融株やネットフリックスが7-9月期の好決算を発表し、主要株価指数を押し上げました。WTI原油先物価格が大幅に下落して1バレル=70ドルを割り込んだことや、9月の米小売売上高などの経済指標が上振れしたことも景気敏感株を中心にプラスの材料となりました。

オランダのASMLホールディング(半導体製造装置)が25年12月期の業績見通しを引き下げたことで急落し、半導体株全般の足を引っ張りました。ただ、その後にTSMC(台湾積体電路製造)の決算が良好で、半導体株はやや持ち直しました。

米ドル/円が週後半に一時150円台を示現するなど「円安」だったものの、日経平均は軟調。ASMLホールディングの決算を嫌気した半導体株下落が重石になりました。27日衆院選に絡む不透明感や本邦当局による円安けん制も影響した模様。FTSE100の下落は、ブリティッシュ・アメリカン・タバコがカナダでの訴訟に関連して大幅に下落したことが主因だった模様。


今週(10/21- )の注目材料

今週は、IMF・世銀総会(21-26日、ワシントン)、BRICSサミット(22-24日、ロシア)、G20財務相・中央銀行総裁会議(23-24日、ワシントン)などの国際会議が相次ぎます。国際情勢や世界経済・金融政策に関する当局者の発言が相場材料になるかもしれません。IMF世界経済見通しは22日公表。

米国では、ベージュブック(地区連銀経済報告)が発表されます。小売売上高が示唆した足もとの景気堅調が裏づけられるか。また、インフレの落ち着きが示されるか。米FRBの利下げ観測が高まれば、株価にとってプラス材料となりそう。

VIX指数、別名「恐怖指数」は先週後半に20を下回り、市場におけるリスク回避の姿勢が後退したことを示唆しました。もっとも、19日にイスラエルのネタニヤフ首相の私邸がドローンの攻撃を受けたことで、イスラエルはイランに対する報復攻撃を協議している模様。中東情勢が一段と緊迫化し、リスク回避の姿勢が再び強まらないか、原油価格が急騰しないか、注意は必要でしょう。

米国での決算発表は、ボーイング、テスラ、GM、UPS(貨物運送)、3M(化学・電気素材)など。欧州では、英国のバークレイズドイツ銀行などの金融系。日本では、キヤノン、信越化学など。

日本では6年ぶりの大型案件となる東京地下鉄(東京メトロ)の新規株式公開(IPO)に注目。ただ、25日から本格化する決算発表や27日の衆院選投開票を前に、日経平均に明確な方向感は出にくいかもしれません。また、150円を挟んでもみ合う米ドル/円の動きや、「円安」に対する本邦当局の姿勢も不透明要因となりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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