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米長期金利の動向やカナダCPIに注目!

2024/10/15 09:04

【ポイント】
・米長期金利が一段と上昇するか
・本邦当局は「円安」けん制のトーンを強めるか
・カナダCPIBOC0.50%利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

14日、欧米時間の外為市場では、が軟調に推移。一時、米ドル/円は149.949円、ユーロ/円は163.541円、豪ドル/円は100.895円、NZドル/円は91.299円へと上昇。米ドル/円は8月1日以来2カ月半ぶりの高値をつけました。欧米の主要株価指数が堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが、円安圧力となりました。

米株式市場では主要な3株価指数がいずれも上昇しました。ダウは前営業日比201.36ドル高(0.47%)の43,065.22ドル、ナスダックは同159.75ポイント高(0.87%)の18,502.69ポイント、S&P500は同44.82ポイント高(0.77%)の5,859.85ポイントで取引を終了。ダウとS&P500は史上最高値を更新しました。

(本日の相場見通し)

米国の長期金利(10年物国債利回り)は11日に4.10%へと上昇し、7月31日以来の高水準をつけました(14日の米債券市場はコロンブスデーで休場)。FRB(米連邦準備制度理事会)の大幅な利下げ観測が後退したことが、米長期金利への上昇圧力となっています。

本日の『ファンダメ・ポイント』は[米長期金利は「ブラックマンデー」直前の水準に上昇! 米ドル/円は150円台を示現するか]です。

CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む次回11月6-7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.50%の利下げが行われる確率は、10月1日時点で36.8%でしたが、強い米雇用統計が発表された4日以降は0%になっています。

本日は米長期金利の動向に注目です。米長期金利が一段と上昇する場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になりそうです。米ドル/の上値メドとして、200日移動平均線(15日時点で151.250円)が挙げられます。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、“半値戻し”に接近中!目先の注目ポイントは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

本日はまた、クーグラーFRB理事デイリー・サンフランシスコ連銀総裁の発言機会があります。

クーグラー理事は8日に「インフレについて予想通りの進展が続けば、追加利下げを行って時間の経過とともにより中立的な政策スタンスに移行することを支持する」と述べ、デイリー総裁は9日に「私の予想通りに米経済が進展すれば、年内にあと1回か2回の利下げが行われる可能性がある」と語りました。

クーグラー理事やデイリー総裁がFRBの金融政策の先行きについて新たなヒントを示せば、市場が反応しそうです。

米ドル/円が150円に接近するなか、本邦当局の反応にも注目です。三村財務官は10月7日に「投機的な動きを含めて為替市場の動向を緊張感を持って注視していく」と述べました。本邦当局が「円安(米ドル/円の上昇)」をけん制するトーンを強める場合、米ドル/円はいったん下落する可能性があります。

***

BOC(カナダ中銀)は6月・7月・9月の3会合連続でそれぞれ0.25%の利下げを実施。マックレムBOC総裁は9月24日の講演で「インフレ目標達成への進展が続いていることから、さらなる利下げを予想するのは妥当だ」と述べ、追加利下げを示唆しました。

市場では、BOCは次回10月23日の会合で追加利下げを行うと予想されています。利下げ幅については、0.25%と0.50%で市場の見方は分かれています。

カナダの9月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。

CPIの総合指数の市場予想は前年比1.8%と、上昇率は8月の2.0%から鈍化し、BOCのインフレ目標レンジ(1~3%)の中間値である2%を下回るとみられています。BOCはコアインフレ指標としてCPIトリム値とCPI中央値を注視しており、これらの市場予想はそれぞれ前年比2.5%と2.3%です。

CPIが市場予想を下回る結果になれば、10月会合での0.50%の利下げ観測が強まるとともに、カナダドル安圧力が加わりそうです。

カナダのCPI(前年比)

カナダのCPI(前年比)

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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