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世界の長期金利が上昇、米国が先導!?

2024/10/08 07:33

【ポイント】
・主要国の長期金利は9月下旬を底に上昇基調
・FOMCや雇用統計などから米長期金利が上昇を主導か
・原油価格の上昇や米新大統領の財政政策なども今後の上昇要因か

足もとで世界的な長期金利(10年物国債利回り)の上昇が目につきます。米長期金利は8月上旬以来となる4.0%に達しました。米国をはじめ英国、カナダ、豪州の長期金利は9月16日を底に上昇に転じており(日本は8月5日、ドイツは10月1日が底)、米FOMC米雇用統計(※)を受けた米長期金利の上昇にけん引されているものと判断できます。

※FOMC(9/16-17)は0.50%利下げを決定しましたが、直後の会見でパウエル議長が大幅利下げの観測をけん制。米雇用統計(10/4)では、NFP(非農業部門雇用者数)が市場予想を大きく上回る増加、かつ失業率が低下。

世界の長期金利

米長期金利は今年4月のピークから9月のボトムまでの低下幅が主要国の中でも最も大きく、それが上昇に転じたことで債券市場の地合いが変化している可能性があります。

長期金利変化

足もとで、中東情勢の緊迫化を反映してWTI原油価格が1バレル=77ドル台と、ここ1週間で大きく上昇しており、今後も予断を許しません。主要国のインフレは順調に鈍化してきましたが、「ラスト1マイル(ここでは2%のインフレ目標達成までの残りわずか)」が遠いのかもしれません。

米国には大統領選挙の接近という特殊事情もあります。ロイター通信によれば、超党派シンクタンクのCRFB(責任ある連邦予算委員会)が、両大統領候補の政策は財政赤字を大きく拡大させるとのレポートを発表しました(赤字幅はハリス<トランプ)。議会との関係もあり、新大統領の政策が実現するとは限りませんが、市場が財政赤字拡大を懸念しやすい状況と言えそうです。

今後も米国を中心とした長期金利の動向には要注意かもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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