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英ポンド、ベイリーBOE総裁の積極利下げ発言の読み方

2024/10/04 07:59

【ポイント】
・ベイリー総裁が有力紙で積極利下げに言及
・総裁発言を受けて英ポンドが全面安
・それでも市場の利下げ観測に著変なし
・今年4月以降の英ポンド高の調整的側面が強いか

BOE(英中銀)のベイリー総裁はメディア()で、積極的に利下げする可能性に言及しました。3日の東京市場で英ポンドが急落、欧州時間が始まっても下落が続きましたが、その後は横這いで推移しています。

※英ガーディアン紙の「『悲劇だ』と、ベイリー総裁は中東危機を注視している~紛争が原油価格に影響するのを懸念」と題する独占インタビュー(日本時間3日14時に配信)。

ベイリー総裁は、消費者物価の上昇圧力は懸念したほど執拗ではなかったことに安堵したとし、インフレの鈍化が続けば、利下げに関して「もう少し積極的になれる」と述べました。

ベイリー総裁は、中東情勢の緊迫化によっても原油価格が大幅に上昇していないことはありがたいと述べる一方で、状況が一段と悪化すればどこかの時点で原油価格が急騰する可能性もあるため注意深く見守っているとのことでした。

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ベイリー総裁の発言に対して、市場は大幅な英ポンド安で反応。債券は反応薄。株価(FTSE100)は上昇して始まりましたが、引けにかけて下落しました。

OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場のBOE金融政策見通しは2日前とほとんど変わっていません。

BOE金融政策見通し

米英長期金利(10年物国債利回り)の差(米-英)は今年4月をピークに縮小し、8月以降はマイナス(米<英)となっていました。それに合わせるように4月以降に英ポンド/米ドルは上昇基調でしたが、ベイリー発言を受けて大きく調整した形です。

米英長期金利差

英ポンド米ドル

今後の経済指標、とりわけ物価関連指標でインフレ圧力の一段の低下が確認されれば、BOEが現時点の想定(※)以上に利下げを積極化させる可能性はありますが、あくまで今後の材料次第ということでしょう。

※市場は25年6月までの6回のMPC(金融政策委員会)で0.25%×5回分の利下げを織り込んでおり、BOEの想定もそれに近いのではないかと思われます。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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