米CPIに注目! 米大統領候補討論会や原油価格が相場材料になる可能性も
2024/09/11 08:50
【ポイント】
・米CPIで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・原油安が一段と進む場合、カナダドルなどに下押し圧力か
・メキシコペソは司法制度改革案をめぐるニュースに要注意
(欧米市場レビュー)
10日、欧米時間の外為市場では、円が堅調に推移。一時、米ドル/円は142.187円、ユーロ/円は156.769円、豪ドル/円は94.492円、NZドル/円は87.442円へと下落し、ユーロ/円や豪ドル/円、NZドル/円は8月上旬以来およそ1カ月ぶりの安値をつけました。欧州の主要株価指数やNYダウ、日経平均先物が軟調に推移する中でリスクオフ(リスク回避)の動きが強まったことが、円の支援材料となりました。
(本日の相場見通し)
米国の8月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果に市場が反応する可能性があります。
CPIの市場予想は、総合指数が前年比2.6%、変動が大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同3.2%。総合指数の上昇率は7月の2.9%から鈍化し、コア指数の上昇率は7月と同じになるとみられています。
FRB(米連邦準備制度理事会)は9月18-19日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うと市場は予想しています。利下げ幅については、0.25%との見方が有力なものの、0.50%との観測もあります。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む9月FOMCの利下げ確率は、0.25%幅が69%、0.50%幅が31%です。
CPIの結果受けて、利下げ幅に関する市場の見方がどのように変化するかに注目です。仮に0.50%の利下げ観測が強まる場合、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が加わり、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそう。米ドル/円は、141.630円(8/5安値)が目先の下値メドです。
日本時間午前10時からハリス氏とトランプ氏の両大統領候補によるTV討論会が行われます(11時30分までの90分間)。その内容によっては、為替相場の材料になる可能性があります。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[TV討論会プレビュー:政策比較]です。
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原油価格が下落しています。米WTI原油先物の中心限月の10月物は10日に一時65.27米ドルへと下落し、中心限月として約1年4カ月ぶりの安値をつけました。足もとの原油安の背景には、世界的な景気減速によって原油の需要が減少するとの懸念があるようです。
原油価格の下落は、カナダドルやメキシコペソにとってマイナスと考えられます。原油安が一段と進む場合、カナダドルやメキシコペソに対して下押し圧力が加わる可能性があります。
メキシコペソについては、司法制度改革案に関するニュースにも注意が必要です。メキシコ議会下院は4日に司法制度改革案を可決済みで、上院では10日に同改革案の審議が始まりました。仮に司法制度改革案が成立すれば司法の独立性が脅かされると市場は懸念しています(メキシコペソ安要因)。
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日銀の中川審議委員が秋田県金融経済懇談会に出席します。中川審議委員は10時30分からの懇談会であいさつし、14時から会見する予定です。中川審議委員のあいさつや会見で日銀の追加利上げの時期についてのヒントが提供されれば、米ドル/円やユーロ/円などが反応する可能性があります。
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