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特徴的な過去の米大統領選挙

2024/09/04 07:52

【ポイント】
・近年は接戦が多い。得票率で上回りながら敗北したケースも
・ほぼ固定された少数の激戦州が選挙結果を左右
・結果確定まで1カ月以上かかったケースも

近年の大統領選挙の傾向や、特徴的だった80年以降の選挙について確認しておきましょう。

■3日付け「歴代の米大統領と米ドル/円の歴史」もご参照ください。

選挙人制度の概要
大統領選挙は、得票率は関係なく、選挙人合計538人の過半数(270人以上)を獲得した候補が当選します。各州で得票数の多い候補が当該州に割り当てられた選挙人を全て獲得するウィナー・テイク・オール方式(一部例外あり)。

各州の選挙人数は、上院議員数(2人×50州=100人)と下院議員数(人口に比例、計435人)の合計と同じ。ワシントンDCに連邦議員はいませんが、選挙人が3人割り当てられます。100人+435人+3人=538人です。選挙人が少ない州は、アラスカワイオミングなどの3人。多い州は、カリフォルニア54人、テキサス40人、ニューヨーク28人など。

接戦が多い
近年は接戦が多く、過去6回の選挙の得票率の差は3.5%。16年にはヒラリー・クリントン氏が得票率でトランプ氏を2.1ポイント上回ったのに、選挙人数では下回り敗北しました。00年も得票率で下回ったブッシュ(子)氏がゴア氏に勝利しました。

過去の大統領選挙

歴史的に民主党寄り、共和党寄りの州はほぼ固まっており、残るわずかな接戦州、いわゆるスウィング・ステートの結果が選挙を左右します。RealClearPoliticsによれば、今回は7つの州(※)が接戦とされています。

アリゾナ(11)、ジョージア(16)、ミシガン(15)、ネバダ(6)、ノースカロライナ(16)、ペンシルベニア(19)、ウィスコンシン(10)。 ( )内は選挙人数。

接戦7州のうち、20年にはバイデン氏がノースカロライナを除く6州で勝利、16年にはトランプ氏がネバダを除く6州で勝利し、当選につなげました。RealClearPoliticsが集計した世論調査結果によれば、9月3日時点でハリス氏が3州でリード、トランプ氏が3州でリード、残り1州がタイとなっています。8月28日までトランプ氏がリードしていたペンシルベニアハリス氏が逆転したため、きょう投票があれば、ハリス氏が270人の選挙人を獲得し、268人のトランプ氏に勝利する計算です。

■8月30日に配信したM2TV(YouTube)グローバルView「ハリス vs トランプ 米大統領選挙ガイド(4)」もご覧ください。

ハリス対トランプ RCP

結果判明までに1カ月以上かかったケース
00年の「ブッシュ子(共)対ゴア(民)」では、フロリダでの得票差がわずかだったため、再集計が繰り返されました。最高裁が再集計の中止を判断し、ゴア氏が敗北宣言をしたのが12月13日。11月7日の投票日から1カ月以上が経過してからでした。フロリダでの得票差は537票、0.009%の差でした。最終的には、ブッシュ氏が得票率で0.5%下回ったものの、271人の選挙人を獲得して当選しました(ゴア氏は266人)。

20年の「トランプ(共)対バイデン(民)」では、現職だったトランプ大統領が選挙結果を受け入れず、翌年1月の議会襲撃につながったことは記憶に新しいところです。

大差がついたケース
ウィナー・テイク・オール方式のため、わずかな得票率の差でも獲得選挙人の数では大差がつくケースも珍しくありません。ただ、獲得選挙人の差が200人を超えたのは92年「クリントン(民)対ドール(共)」が最後。勝者が400人以上を獲得したのは88年「ブッシュ父(共)対デュカキス(民)」が最後でした。地滑り的勝利(Landslide Victory)を収めたのが、80年「レーガン(共)対カーター(民)」、84年「レーガン対モンデール(民)」のレーガン氏。84年にはレーガン氏が525人の選挙人を獲得、モンデール氏はミネソタワシントンDCの計13人でした。

第3の旋風
民主党と共和党の2大政党以外からの立候補者は通常、泡沫候補とされます。ただ、92年と96年に出馬したロス・ペロー氏は財政赤字の削減を訴えて存在感を発揮。いずれの年も選挙人を獲得することはできませんでしたが、92年には18.9%の得票率で、クリントン氏の勝利を間接的に後押ししたとされています。クリントン氏は(わずか⁉)43.0%の得票率(有権者の23.8%)で大統領に選ばれました。

今回、無所属で立候補していたロバート・ケネディ・ジュニア氏(※)は、バイデン氏とトランプ氏のどちらにも投票したくない有権者の受け皿として相応の得票が予想されていました。しかし、8月下旬に脱落し、トランプ陣営に加わりました。

※政治家&弁護士。ケネディ元司法長官の息子で、JFケネディ大統領の甥。もとは民主党所属
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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