メキシコ中銀は利下げ決定、さらなる利下げにも言及
2024/08/09 09:40
【ポイント】
・カナダ雇用統計でBOC利下げ観測が補強されるか
・メキシコ中銀は「政策金利の調整について議論できる可能性がある」と表明
(欧米市場レビュー)
8日、欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は147.489円、ユーロ/円は160.823円、豪ドル/円は97.069円へと上昇しました。米国の主要株価指数が上昇するなかでリスクオフ(リスク回避)の動きが後退したことが、円安圧力となりました。米国の新規失業保険申請件数(先週分)が23.3万件と市場予想の24.0万件と比べて強い結果となり、米ドル/円に関してはそれも上昇要因となりました。
豪ドル/NZドルは堅調に推移し、一時1.09696NZドルへと上昇しました。企業経営者と専門家を対象としたRBNZ(NZ中銀)の四半期調査では、2年先の期待インフレ率が前回の2.33%から2.03%へと低下し、21年1-3月期以来の低水準となりました。それを受けて市場ではRBNZは来週水曜日(14日)の政策会合で利下げするとの観測が強まり(NZドル安材料)、豪ドル/NZドルの上昇要因となりました。
BOM(メキシコ中銀)は政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を11.00%から10.75%へと引き下げました(詳細は後述)。
(本日の相場見通し)
本日は米国の主要な経済指標の発表はなく、日米など主要国の株価動向が材料になりそうです。
8日の米株式市場では主要3株価指数がいずれも上昇。ダウは前日比683.04ドル高(1.76%)の39,446.49ドル、ナスダックは同464.22ポイント高(2.87%)の16,660.02ポイント、S&P500は同119.81ポイント高(2.30%)の5,319.31ポイントで取引を終了。米国の失業保険申請件数が市場予想と比べて強い結果だったことが、株価の支援材料となりました。
主要国の株価が本日堅調に推移すれば、リスクオフ(リスク回避)の動きが一段と後退する可能性があります。その場合、円安圧力が加わって米ドル/円やクロス円は上値を試す展開になりそうです。
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カナダの7月雇用統計が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果にカナダドルが反応しそうです。
雇用統計の市場予想は以下の通り。( )は前回6月の実績です。
・失業率:6.5%(6.4%)
・雇用者数(前月比):2.25万人増(0.14万人減)
BOC(カナダ中銀)は6月と7月の2会合連続で利下げを実施。マックレムBOC総裁は7月会合時の会見で、「インフレ率がおおむね(BOCの)想定通りに鈍化し続ければ、政策金利のさらなる引き下げを予想するのが妥当だ」と述べ、追加利下げの可能性に言及しました。
市場では、BOCは次回9月4日の政策会合で追加利下げを行うとの見方が大勢。雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、追加利下げ観測が補強されるとともに、カナダドルが軟調に推移しそうです。
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BOM(メキシコ中銀)は8日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を11.00%から10.75%へと引き下げました。利下げは3対2の僅差で決定され、ヒース副総裁とエスピノサ副総裁の2名が据え置きを主張して利下げに反対しました。
BOMの声明を見ると、メキシコのコアCPI(消費者物価指数)上昇率の鈍化が利下げする主な理由のようです。
声明は「(メキシコの)7月の総合CPIは前年比5.57%へと加速したが(6月は4.98%)、それは非コア部門(農畜産物など)が大幅に上昇したためだ」と指摘。「コアインフレ率(コアCPI上昇率)の方がインフレの傾向をより反映する」とし、「コアインフレ率は18カ月連続で鈍化している」と強調。「コアインフレ率の軌道、およびコアインフレ率は引き続き鈍化するとの予測」などを踏まえ、今回の会合で利下げすることが適切だと判断したと説明しました。
メキシコの景気減速もBOMの政策判断に影響を与えたのかもしれません。声明では、「24年4-6月期のGDP(国内総生産)成長率は低く、23年終盤以降続いている経済活動の弱さが長期化している」と指摘され、「経済活動に対するリスクバランスは下向きに傾いている」との認識が示されました。
先行きの金融政策について声明は、「(さらなる)政策金利の調整について議論できる可能性がある」と表明し、今後さらに利下げする可能性が示されました。
BOMの次回政策会合は9月26日です。コアCPI上昇率の鈍化が続く場合、BOMは9月に追加利下げに踏み切るかもしれません。
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