エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※7月16日更新
2024/07/16 11:15
宮田レポート
[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,000~42,500円
[NYダウ]
【当面の想定レンジ】 32,000~41,000ドル
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~18,700
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~162.000円
[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350
[日経平均]

【週足・エリオット波動分析】
今年3月高値(41,087円)からの調整第4波は[トライアングル]となり、それは第2波(22年3月~6月)の[フラット]と交互(オルタネーション)になっていました。
そして、トライアングルから上放れた6月下旬からの波は、22年3月安値(24,681円)を起点とするインターミディエイト級第(3)波における、マイナー級第5波に位置付けられます。
7月11日には一時42,426円まで上昇しましたが、それは第1波と第5波が1:236のフィボナッチ比率関係になる水準[42,470円]に近いものでした。またこの高値は、21年2月高値から引いたレジスタンスラインへの到達をはたしています。
同じ日のTOPIX終値は2929となり(ザラバ高値は2946)、第1波と第5波が等しく上がる水準[2931]を達成しています。
ちなみに、トライアングルに続いて起こる上昇(第5波)の特徴のひとつに、「とても強いが短期間で終了する」があり、直近の新高値・急落という動きは第5波終了を示唆しています。
今年、日経平均の年間上昇幅はザラバベースで9733円になりました。これは歴代首位の年間上昇幅である11244円(20年)には及びませんが、19年~23年の平均(6566円幅)を大きく上回っています。
もう少し動向を見定める必要はあるものの、➂波-(3)波「サード・オブ・サード」終了の可能性があります。
もしそうであれば、今は➂波-(4)波調整が始まったところです。この調整は9~11月まで続き、それを以て日経平均は4年サイクル底を付けることでしょう。
今月のマンスリー・フォーカス(No.42)に書いたように、日経平均は高値から15%~20%調整する可能性があります。暫定的に42,426円を高値とみなせば、日経平均の4年サイクル底の水準は3万6000円~3万4000円と見積もることができます。

【日経平均 日足・エリオット波動分析】
37,950円(6/17安値)以来の上昇・マイナー級第5波とカウントされます。
7月11日に日経平均はマドを空けて上昇しましたが、翌12日は一転、マド空けで急落しました(12日の1033円安は3年5カ月ぶりの下げ幅でした)。
この動きにより11日の日足がマドの上方に取り残される「アイランド・リバーサル(離れ小島)」という天井パターンが出現しました。
今週41,082円を下抜くとパラボリックSARが売り転換し、日経平均が天井を付けた可能性がさらに高められます。そうなると、次に日経平均は日足基準線が控える40,200円処を試す展開となりそうです。

[NYダウ]

【NYダウ日足・エリオット波動分析】
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)以来、プライマリー級➃波展開中とみられます。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。
22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波の上昇は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]。23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]です。
7月15日に一時40,351ドルまで上昇し、NYダウは最高値を更新しました。
NYダウは[トライアングル]による(b)波を完成し、足元は「最後の上昇」(c)波と解釈できます。
足元高値は[40,120ドル-40,690ドル]の中にあります。波動構成からも水準からも、NYダウはいつ天井を付けてもおかしくありません。

【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
3月高値からの(b)波は[トライアングル]と解釈できます。それは38,937ドル(6/28安値)で完成し、以来、(c)波による上昇が展開しています。
もう一つの波動カウントとしては、現在進行中の上昇は第➄波であり、その完成を以て22年10月安値(28,660ドル)からの5波構成による強気相場はすべて終わります。
なお上記二つの見方の間に大きな差はなく、重要な天井が接近しているという点で共通しています。
[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。
➃-(B)波による上昇は[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]編成です。今年4月安値(15,222)からは、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波による上昇とみられます。
7月11日には一時18,671まで上昇し、フィボナッチ比率の節目に達しました。
[18,551] ➃-(B)波の上昇幅が、➃-(A)波(21年11月~22年1月)による下落幅に対し1.382倍
加えて、この日のローソク足「包み大陰線」は、ナスダックのピークアウトを暗示しています。
短期的に7月3日-5日のギャップ(18,188-18,197)が埋められると、それは下落トレンド入りの追加的シグナル発動となります。


【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・長期エリオット波動分析】
[基本シナリオ(プリファード・カウント)]
SOX指数は、08年11月安値(167)以来の第➂波による上昇を22年1月高値(4068)で完了し、そこからは第➃波の調整が展開している、とみています。
これまで書いてきたように、この第➃波は[エクスパンディッド・フラット]か[ランニング・フラット]を形成するとみられ、22年10月安値(2089)からは(B)波の上昇に位置付けられます。
(B)波が終わった後には(C)波による下落トレンドが続きます。
それは➃-(A)波(22年1月~22年10月)の下落率(48.63%安)に匹敵するか、あるいはそれを超えるスケールでの下落が見込まれます。
[代替シナリオ(オルタナティブ・カウント)]
上記の基本観に代わる見方として、「22年10月安値から足元までの上昇が第➄波」をあげられます。このケースだと、第➄波完成後の調整は(基本観に比べ)より深く、より長期にわたるものになるでしょう。
[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。
【月足・エリオット波動分析】
ドル/円8年サイクル高値は161.938円(7/3)を以て終わったか、終わりつつある、とみています。
いまメディアやSNSを通じて「円買い介入でも円安は止められない」「1ドル=200円説」などという極端なフレーズが飛び交い、「円安は構造的なもの」と永久に円安が続くかのようにいわれていますが、結局のところ相場は循環論であり、誰もが納得しやすい相場の理屈や構造論が持ち込まれたとき、その相場は大抵終わりに近いものです。今回でいえば円安の終わりが近い、ということです。
現在の月足は、長期上昇チャネルの上側から大きく逸脱していますが─今月のチャネル上限は153.750円に位置します─このように「極端に上がり過ぎ」の状態は長続きせず、いずれチャネル内に回帰する公算が大きいと思われます。
7月11日の日本時間21時半に米CPI(予想を下回る結果)が発表されると、円相場は円高に大きく振れました。政府・日銀が3兆円超の規模で、ドル売り・円買い介入を実施との観測があります。
また翌12日には、ユーロ/円に対するレートチェック報道もあり、ユーロに対しても円買い介入が入るのではと警戒され始めました。
これら政府・日銀による一連のアクションにより大きなトレンドが劇的に変わるとはいえませんが、少なくとも「円安パニック」「円安バブル」終息への、最初のきっかけにはなり得るでしょう。
今回は特に、円安から円高への基調転換は対米ドルだけでなく、他の主要通貨に対しても広がり始めた点に注目しています(名目実効円レートは円高に動き始めています)。

【週足・エリオット波動分析】
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。
A波の長さに対し、B波の長さが1.382倍になるとみた場合(これはノーマルな考え方です)、B波トップの目標値は161.350円です。この目標値は既に達成されており、B波はいつトップアウトしておかしくありません。
なおB波の後に続くC波(ドル安・円高)の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。
A波の長さは24.741円(およそ25円)でした。ここから、C波の長さの標準は25円程度と思われます。

【日足・エリオット波動分析】
4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒161円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安バブル』と呼べる過剰な円安は、今後はあるべき水準へ修正されていくと思われます。
[日米実質金利差による推計値]…147.454円

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでおり、そうなれば日米実質金利差の縮小に沿ってドル/円は150円を下回っていくでしょう。
]
【時間足・エリオット波動分析】
昨年末の140.244円からのドル高・円安は、161.938円(7/3)までに5つの波動がすべて出揃いました。円安から円高へ、トレンドは転換したかもしれません。
7月15日に一時157.235円までドル/円は下げたものの、足元は158円台前半でもみ合う展開が続きます。今のところは節目の158円を明確に下抜く動きはみられません。
[158.066円]…第v波の61.8%押し水準
今後158円割れが定着すると、円安から円高への基調転換は一段と現実味を増すことになり、当面は155.674円(6/12)を試すでしょう。
[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。
おそらく、まもなくB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。
派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。
いずれにしても、ここからは大幅なドル安を想定しています。
ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。

エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。
[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,000~42,500円
[NYダウ]
【当面の想定レンジ】 32,000~41,000ドル
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~18,700
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~162.000円
[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350
[日経平均]

【週足・エリオット波動分析】
今年3月高値(41,087円)からの調整第4波は[トライアングル]となり、それは第2波(22年3月~6月)の[フラット]と交互(オルタネーション)になっていました。
そして、トライアングルから上放れた6月下旬からの波は、22年3月安値(24,681円)を起点とするインターミディエイト級第(3)波における、マイナー級第5波に位置付けられます。
7月11日には一時42,426円まで上昇しましたが、それは第1波と第5波が1:236のフィボナッチ比率関係になる水準[42,470円]に近いものでした。またこの高値は、21年2月高値から引いたレジスタンスラインへの到達をはたしています。
同じ日のTOPIX終値は2929となり(ザラバ高値は2946)、第1波と第5波が等しく上がる水準[2931]を達成しています。
ちなみに、トライアングルに続いて起こる上昇(第5波)の特徴のひとつに、「とても強いが短期間で終了する」があり、直近の新高値・急落という動きは第5波終了を示唆しています。
今年、日経平均の年間上昇幅はザラバベースで9733円になりました。これは歴代首位の年間上昇幅である11244円(20年)には及びませんが、19年~23年の平均(6566円幅)を大きく上回っています。
もう少し動向を見定める必要はあるものの、➂波-(3)波「サード・オブ・サード」終了の可能性があります。
もしそうであれば、今は➂波-(4)波調整が始まったところです。この調整は9~11月まで続き、それを以て日経平均は4年サイクル底を付けることでしょう。
今月のマンスリー・フォーカス(No.42)に書いたように、日経平均は高値から15%~20%調整する可能性があります。暫定的に42,426円を高値とみなせば、日経平均の4年サイクル底の水準は3万6000円~3万4000円と見積もることができます。

【日経平均 日足・エリオット波動分析】
37,950円(6/17安値)以来の上昇・マイナー級第5波とカウントされます。
7月11日に日経平均はマドを空けて上昇しましたが、翌12日は一転、マド空けで急落しました(12日の1033円安は3年5カ月ぶりの下げ幅でした)。
この動きにより11日の日足がマドの上方に取り残される「アイランド・リバーサル(離れ小島)」という天井パターンが出現しました。
今週41,082円を下抜くとパラボリックSARが売り転換し、日経平均が天井を付けた可能性がさらに高められます。そうなると、次に日経平均は日足基準線が控える40,200円処を試す展開となりそうです。

[NYダウ]

【NYダウ日足・エリオット波動分析】
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)以来、プライマリー級➃波展開中とみられます。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。
22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波の上昇は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]。23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]です。
7月15日に一時40,351ドルまで上昇し、NYダウは最高値を更新しました。
NYダウは[トライアングル]による(b)波を完成し、足元は「最後の上昇」(c)波と解釈できます。
足元高値は[40,120ドル-40,690ドル]の中にあります。波動構成からも水準からも、NYダウはいつ天井を付けてもおかしくありません。

【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
3月高値からの(b)波は[トライアングル]と解釈できます。それは38,937ドル(6/28安値)で完成し、以来、(c)波による上昇が展開しています。
もう一つの波動カウントとしては、現在進行中の上昇は第➄波であり、その完成を以て22年10月安値(28,660ドル)からの5波構成による強気相場はすべて終わります。
なお上記二つの見方の間に大きな差はなく、重要な天井が接近しているという点で共通しています。
[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。
➃-(B)波による上昇は[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]編成です。今年4月安値(15,222)からは、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波による上昇とみられます。
7月11日には一時18,671まで上昇し、フィボナッチ比率の節目に達しました。
[18,551] ➃-(B)波の上昇幅が、➃-(A)波(21年11月~22年1月)による下落幅に対し1.382倍
加えて、この日のローソク足「包み大陰線」は、ナスダックのピークアウトを暗示しています。
短期的に7月3日-5日のギャップ(18,188-18,197)が埋められると、それは下落トレンド入りの追加的シグナル発動となります。


【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・長期エリオット波動分析】
[基本シナリオ(プリファード・カウント)]
SOX指数は、08年11月安値(167)以来の第➂波による上昇を22年1月高値(4068)で完了し、そこからは第➃波の調整が展開している、とみています。
これまで書いてきたように、この第➃波は[エクスパンディッド・フラット]か[ランニング・フラット]を形成するとみられ、22年10月安値(2089)からは(B)波の上昇に位置付けられます。
(B)波が終わった後には(C)波による下落トレンドが続きます。
それは➃-(A)波(22年1月~22年10月)の下落率(48.63%安)に匹敵するか、あるいはそれを超えるスケールでの下落が見込まれます。
[代替シナリオ(オルタナティブ・カウント)]
上記の基本観に代わる見方として、「22年10月安値から足元までの上昇が第➄波」をあげられます。このケースだと、第➄波完成後の調整は(基本観に比べ)より深く、より長期にわたるものになるでしょう。
[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。
【月足・エリオット波動分析】
ドル/円8年サイクル高値は161.938円(7/3)を以て終わったか、終わりつつある、とみています。
いまメディアやSNSを通じて「円買い介入でも円安は止められない」「1ドル=200円説」などという極端なフレーズが飛び交い、「円安は構造的なもの」と永久に円安が続くかのようにいわれていますが、結局のところ相場は循環論であり、誰もが納得しやすい相場の理屈や構造論が持ち込まれたとき、その相場は大抵終わりに近いものです。今回でいえば円安の終わりが近い、ということです。
現在の月足は、長期上昇チャネルの上側から大きく逸脱していますが─今月のチャネル上限は153.750円に位置します─このように「極端に上がり過ぎ」の状態は長続きせず、いずれチャネル内に回帰する公算が大きいと思われます。
7月11日の日本時間21時半に米CPI(予想を下回る結果)が発表されると、円相場は円高に大きく振れました。政府・日銀が3兆円超の規模で、ドル売り・円買い介入を実施との観測があります。
また翌12日には、ユーロ/円に対するレートチェック報道もあり、ユーロに対しても円買い介入が入るのではと警戒され始めました。
これら政府・日銀による一連のアクションにより大きなトレンドが劇的に変わるとはいえませんが、少なくとも「円安パニック」「円安バブル」終息への、最初のきっかけにはなり得るでしょう。
今回は特に、円安から円高への基調転換は対米ドルだけでなく、他の主要通貨に対しても広がり始めた点に注目しています(名目実効円レートは円高に動き始めています)。

【週足・エリオット波動分析】
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。
A波の長さに対し、B波の長さが1.382倍になるとみた場合(これはノーマルな考え方です)、B波トップの目標値は161.350円です。この目標値は既に達成されており、B波はいつトップアウトしておかしくありません。
なおB波の後に続くC波(ドル安・円高)の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。
A波の長さは24.741円(およそ25円)でした。ここから、C波の長さの標準は25円程度と思われます。

【日足・エリオット波動分析】
4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒161円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安バブル』と呼べる過剰な円安は、今後はあるべき水準へ修正されていくと思われます。
[日米実質金利差による推計値]…147.454円

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでおり、そうなれば日米実質金利差の縮小に沿ってドル/円は150円を下回っていくでしょう。

【時間足・エリオット波動分析】
昨年末の140.244円からのドル高・円安は、161.938円(7/3)までに5つの波動がすべて出揃いました。円安から円高へ、トレンドは転換したかもしれません。
7月15日に一時157.235円までドル/円は下げたものの、足元は158円台前半でもみ合う展開が続きます。今のところは節目の158円を明確に下抜く動きはみられません。
[158.066円]…第v波の61.8%押し水準
今後158円割れが定着すると、円安から円高への基調転換は一段と現実味を増すことになり、当面は155.674円(6/12)を試すでしょう。
[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。
おそらく、まもなくB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。
派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。
いずれにしても、ここからは大幅なドル安を想定しています。
ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。

エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
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