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エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※7月12日更新

2024/07/12 11:10

宮田レポート

[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,000~42,500円

[NYダウ] 
【当面の想定レンジ】 32,000~41,000ドル

[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~18,700

[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~162.000円



[日経平均]


【週足・エリオット波動分析

今年3月高値(41,087円)からの調整第4波は[トライアングル]となり、それは第2波(22年3月~6月)の[フラット]と交互(オルタネーション)になっていました。

6月下旬から足元にかけての上昇は、22年3月安値(24,681円)を起点とするインターミディエイト級第(3)波における、マイナー級第5波に位置付けられます。

マイナー級の第1波は3657円幅、同第3波は15466円幅、各々上昇しています。第3波の長さは第1波に対し4.229倍(≒4.236)と大きく、それは延長(エクステンション)した波です。

したがって現行の第5波は延長せず─1・3・5波で延長するのはひとつだけ─その長さは第1波と同程度と考えられます。

7月11日、第1波と第5波が等しく上がる水準[41,607円]を上回りました。これにより、次は第1波と第5波が1:236を反映する水準[42,470円]に焦点が移りますが、この日の高値(42,426円)はそれに近いものでした。

またこの日、TOPIX終値は2929となり(ザラバ高値は2946)、第1波と第5波が等しく上がる水準[2931]を達成しています。

ちなみに、トライアングルに続いて起こる上昇(第5波)の特徴のひとつに、「とても強いが短期間で終了する」というものがあります。

➂波-(3)波「サード・オブ・サード」は7月~8月にも終了すると思われます。その後には➂波-(4)波の調整が到来、おそらく9~11月に4年サイクル底を付けることでしょう。

【日経平均 日足・エリオット波動分析】
37,950円(6/17安値)以来の上昇は、マイナー級第5波とカウントされます。

7月11日、日経平均はマドを空けて上昇しました。
ここから早々にマド埋め(41,889円)をはたすようなら、それは上昇トレンド中最後の”exhaustion gap “だった証左であり、日経平均の基調転換が示唆されます。


[NYダウ] 

【NYダウ日足・エリオット波動分析】 
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)以来、プライマリー級➃波展開中とみられます。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。

22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波の上昇は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]。23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]です。

Y波は40,077ドル(5/20高値)で天井を打ち、➃-(C)波による下落が始まったかもしれません。この見方は38,000ドル(5/30安値)を下抜くことで強められます。そうなると当面は、200日MA※を目指し下落していく展開が想定されます。

※200日MA…37,394ドル(7/11)

もう一つの波動解釈は、Y波の(b)波が[トライアングル]を形成中であり、「最後の上昇」(c)波によって高値更新がある、というものです。

【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
40,077ドル(5/20高値)から38,000ドル(5/30安値)までは第(ⅰ)波による下落、そこから第(ⅱ)波によるリバウンドと位置付けられます。

7月11日、一時39,875ドルと4万ドルに接近しましたが、38,000ドルから足元までにみられるchoppyな上昇波形は、修正波としての特徴を示しています。第(ii)波リバウンドは終わったか、終わりつつあるとみられます。

38,000ドルを下抜くと、第(iii)波の下げに入った可能性が高く、短期的にも37,611ドル(4/18安値)を試すでしょう。

一方、38,000ドルが維持される限り、3月高値からの(b)波を[トライアングル]と解釈できます。
この見方によれば、NYダウは─大きな調整に入る前の─「最後の上昇」により40,077ドルを上抜く展開が想定されます。


[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。

➃-(B)波による上昇は[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]編成です。今年4月安値(15,222)からは、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波による上昇とみられます。

7月11日には一時18,671まで上昇し、フィボナッチ比率の節目に達しました。
[18,551] ➃-(B)波の上昇幅が、➃-(A)波(21年11月~22年1月)による下落幅に対し1.382倍になる

加えて、この日のローソク足「包み大陰線」は、ナスダックのピークアウトを暗示しています。

短期的に7月3日-5日のギャップ(18,188-18,197)が埋められると、それは下落トレンド入りの追加的シグナル発動となります。

【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・長期エリオット波動分析】
今回は長期タームの波動カウントをご紹介します。

[基本シナリオ(プリファード・カウント)]
SOX指数は、08年11月安値(167)以来の第➂波による上昇を22年1月高値(4068)で完了し、そこからは第➃波の調整が展開している、とみています。

これまで書いてきたように、この第➃波は[エクスパンディッド・フラット]か[ランニング・フラット]を形成するとみられ、22年10月安値(2089)からは(B)波の上昇に位置付けられます。

(B)波が終わった後には(C)波による下落トレンドが続きます。
それは➃-(A)波(22年1月~22年10月)の下落率(48.63%安)に匹敵するか、あるいはそれを超えるスケールでの下落が見込まれます。

[代替シナリオ(オルタナティブ・カウント)]
上記の基本観に代わる見方として「22年10月安値から足元までの上昇は既に第➄波である」をあげられます。このケースだと、第➄波完成後の調整は(基本観に比べ)より深く、より長期にわたるものになるでしょう。



[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。

【月足・エリオット波動分析】 
ドル/円8年サイクル高値は161.938円(7/3)を以て終わったか、終わりつつある、とみています。

いまメディアやSNSを通じて「円買い介入でも円安は止められない」「1ドル=200円説」などという極端なフレーズが飛び交い、「円安は構造的なもの」と永久に円安が続くかのようにいわれていますが、結局のところ相場は循環論であり、誰もが納得しやすい相場の理屈や構造論が持ち込まれたとき、その相場は大抵終わりに近いものです。今回でいえば円安の終わりが近い、ということです。

現在の月足は、長期上昇チャネルの上側から大きく逸脱していますが─今月のチャネル上限は153.750円に位置します─このように「極端に上がり過ぎ」の状態は長続きせず、いずれチャネル内に回帰する公算が大きいと思われます。

なお7月11日の日本時間21時半に米CPI(予想を下回る結果)が発表されると、円相場は円高に大きく振れました(政府・日銀による円買い介入観測が浮上しています)。「円安パニック」「円安バブル」が収束する、最初のきっかけかもしれません。

【週足・エリオット波動分析】 
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。

A波の長さに対し、B波の長さが1.382倍になるとみた場合(これはノーマルな考え方です)、B波トップの目標値は161.350円です。この目標値は既に達成されており、B波はいつトップアウトしておかしくありません。

なおB波の後に続くC波(ドル安・円高)の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。

A波の長さは24.741円(およそ25円)でした。ここから、C波の長さの標準は25円程度と思われます。

【日足・エリオット波動分析】
4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒161円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安バブル』と呼べる過剰な円安は、今後はあるべき水準へ修正されていくと思われます。

[日米実質金利差による推計値]…147.454円

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでおり、そうなれば日米実質金利差の縮小に沿ってドル/円は150円を下回っていくでしょう。

【時間足・エリオット波動分析】
昨年末の140.244円からのドル高・円安は、161.938円(7/3)までに5つの波動がすべて出揃いました。円安から円高へ、トレンドは転換したかもしれません。

7月11日には一時157円台前半へドル/円は下げました。もっとも、今のところは節目の158円を明確に下抜いた、とはいえません、

[158.066円]…第v波の61.8%押し水準

12日以降、NY市場終値ベースで158円を下回ったことが確認されれば、それは円安から円高へのトレンド転換の証左と考えられます。


[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】 
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。

おそらく、まもなくB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。

派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。

いずれにしても、ここからは大幅なドル安を想定しています。

ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。



エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。

宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

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