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CPIで米ドル/円が急落、為替介入??

2024/07/12 07:34

【ポイント】
・米CPIが弱く、米ドル/円は一時157.343円へ下落
・本邦当局による為替介入実施の観測あり
・本日および週明け(15日祝日を含む)の追撃介入には要注意か

(欧米市場レビュー)

11日の欧米外為市場では、米国の弱い6月米CPIを受けて米ドル/円が急落し、一時157.343円をつけました。対円での下落率が大きかったことから、本邦当局による為替介入が疑われました(後述)。が全面高。カナダドルは対米ドルでいったん上昇しましたが、その後に米CPI発表前の水準を下回りました。10日に大幅に上昇した豪ドル/NZドルはその後小動きに終始しました。

12日付けファンダメ・ポイント「米国の6月CPIは弱め、米利下げ観測が高まる」をご覧ください。

為替介入の有無
7月末の退任が決まっている神田財務官が久々に為替相場について発言。為替介入の有無にはノーコメントでしたが、過去1カ月の円安は「かなり大きな変動」で、「ファンダメンタルズに沿った合理的な動きとは思えない」と述べました。

財務省が公表する「外国為替平衡操作の実施状況」で、6月27日~7月29日の間に為替介入があったかどうかが明らかになるのが、7月31日午後7時(日銀金融政策決定会合の後、米FOMCの前)。7月11日当日の介入の有無が明らかになるのは、11月ごろです。

米ドルは、円以外の通貨に対しても下落しましたが、初期反応の後にかなり戻したため(対円だけ戻りが小さかったため)、本邦当局が為替介入に踏み切った可能性はあります(一部の報道では、「政府関係者は・・為替介入を実施したと明らかにした」とあります)。ただ、過去の経験からすると、仮に為替介入があったとしても、その規模はさほど大きくなかったかもしれません。


(本日の相場見通し)

本日の主な経済指標は、米国の6月PPI(生産者物価指数)7月ミシガン大学消費者信頼感(1年先・5-10年先のインフレ予想含む)・速報値など。インフレおよびインフレ予想の落ち着きが確認されれば、利下げ観測が高まり、米ドルにさらなる下落圧力が加わるかもしれません。

11日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む米FRBの利下げ確率は、7月31日が1割未満と引き続き低いですが、9月18日が9割超、11月7日に2回目の利下げが5割ちょっと、12月18日までの2回目の利下げが100%で3回目の利下げが3割近く、25年1月29日までの3回目の利下げがほぼ100%です。

シティグループやJPモルガンなど米金融機関の4-6月期決算が発表されます。S&P500やナスダック指数は11日に下げたものの、最高値近辺で推移しており、株価の動きも注目されます。  

11日に本邦当局の為替介入があったとすれば、追撃介入には要注意かもしれません。22年10月のケースでは、21日金曜日の深夜(日本時間、以下同じ)に実施された後、週明け24日早朝に追撃があったことが確認されています。また、未確認ながら、今年のケースでは4月29日(祝)昼に実施された後、5月2日早朝に実施された可能性があります。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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