米ISM製造業景況指数に注目! ユーロ/円はユーロ導入以降の最高値
2024/07/01 09:09
【ポイント】
・米ISM製造業景況指数でFRBの利下げ観測が後退するか
・鈴木財務相は市場をけん制、本邦当局の為替介入は!?
・フランス議会選挙でRNの得票率は市場が懸念していたほどではない!?
(欧米市場レビュー)
6月28日、欧米時間の外為市場では、豪ドルが堅調に推移。豪ドル/円は一時107.399円へと上昇し、07年12月以来16年半ぶりの高値を記録。豪ドル/米ドルは0.66789米ドル、豪ドル/NZドルは1.09585NZドルへと上昇する場面がありました。6月26日に発表された豪州の5月CPI(消費者物価指数)が前年比4.0%と、市場予想の3.8%を上回ったことで、市場ではRBA(豪中銀)の利上げ観測が強まっており、そのことが引き続き豪ドルの支援材料となりました。
米国の5月PCE(個人消費支出)デフレーターは前年比2.6%と、市場予想通りの結果でした。PCEデフレーターの結果発表後に米ドル/円は一時160.249円へと下落したものの、その後161円近辺へと反発しました。
※PCEデフレーターについては、6月29日の『ファンダメ・ポイント』[米PCEはやや弱め、トランプ勝利ならインフレ加速?]にて解説していますので、ご覧ください。
(本日の相場見通し)
本日オセアニア時間の外為市場ではユーロが堅調に推移しており、ユーロ/円は1999年のユーロ導入以降の最高値をつけました。6月30日に実施されたフランスの議会選挙の第1回投票(決選投票は7月7日実施)では、推計の得票率で極右政党のRN(国民連合)が3割を超えて最大勢力になりました。ユーロが堅調なのは、RNの得票率は懸念していたほど伸びていないと市場が受け止めたためと考えられます。ユーロは引き続き堅調に推移する可能性があります。
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米国の6月ISM製造業景況指数が本日発表されます(日本時間23:00)。ISM製造業景況指数の市場予想は49.2と、業況判断の分かれ目である50は引き続き下回るものの、5月の48.7から上昇するとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うとの見方が有力です。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込むFRBの利下げの確率は、次回7月30-31日のFOMCで10%程度、9月17-18日までで64%程度です(6/28時点)。
ISM製造業景況指数が市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が市場で後退するとともに、米ドルが堅調に推移しそうです。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方で英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になると考えられます。
本邦当局が為替介入(米ドル売り・円買い介入)に踏み切るかどうかにも注目です。鈴木財務相は6月28日、為替について「過度な変動は望ましくない」、「急激で一方的な変動が経済に与える影響について深く懸念している」、「過度な変動には適切に対応する」と述べ、改めて市場をけん制しました。足もとの動きが過度な変動にあたるかどうかについては「コメントしない」としました。
6月28日に、神田財務官が7月31日付で退任すると発表されました。神田財務官は21年7月に就任し、22年9月と10月、24年4月から5月にかけて実施された為替介入を主導しました。後任の財務官には三村国際局長が昇格します。
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