米PCEはやや弱め、トランプ勝利ならインフレ加速?
2024/06/29 06:18
【ポイント】
・米PCEは総合、コアとも前月から伸びが鈍化
・ただ、期末要因もあって長期金利は上昇
・米ドル/円は再び161円に接近
・バイデン氏はTV討論会での劣勢を挽回するか、それとも・・・
5月の米PCE(個人消費支出)デフレーターは市場予想の通りで、前月から伸びがやや鈍化しました。米長期金利(10年物国債利回り)はPCEを受けていったん低下しました(※)。しかし、その後に期末(月末、四半期末、前期末)のポジション調整からか国債が売られて長期金利は大幅に上昇。160円台前半に下落していた米ドル/円は再び161円に接近しました。
※米長期金利と米ドル/円はTV討論会の前後(日本時間28日午前10時ごろ)に上昇しました。トランプ氏が優勢で、減税や関税引き上げがインフレ圧力になるとの見方が強まったからかもしれません(神田財務官の交代人事が明らかになったことも円安圧力になったとの見方はありますが)。
28日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場のメインシナリオ(予想確率5割超)は「年内利下げは9月と12月の2回」でほぼ変わらず。ただし、9月の利下げ確率は66%、年内の追加利下げの確率は66%で、「確実」とは言えない状況です。

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米国の5月PCEデフレーターは、総合が前年比2.6%、食料とエネルギーを除くコアも同2.6%。いずれも市場予想通りで、前月(総合2.7%、コア2.8%)から伸びがやや鈍化しました。

労働コストを強く反映するとしてFRBが注目するPCEコアサービス(住居費を除く)は前年比3.4%と、前月(3.5%)から伸びがわずかに鈍化しました。ただ、昨年終盤までみられた鈍化傾向は今年に入って足踏みに近い状態です。

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大統領候補によるTV討論会では、直後のCNNによる視聴者調査で「トランプ氏が勝った」との回答が67%でした。ただ、これはバイデン氏のオウンゴールと言えそう。バイデン氏にとって最大の目的は、自身の健康や職務遂行能力に対する懸念を払しょくすることだったはず。しかし、風邪のせいもあったのか、弱々しく見え、言い間違いもありました。
バイデン氏は討論会後に選挙戦を続ける意向を表明したようですが、少なくとも水面下では代替候補を探す動きが活発化するかもしれません。
■バイデン氏が出馬を取り下げた場合・・・
可能性は高くないかもしれませんが、民主党が代替候補を擁立することは可能です。州によってルールが異なるようですが、民主党の予備選でバイデン氏を支持した代議員は、自身の支持する候補に切り替えるか、あるいはバイデン氏が指名する後継者を支持することになりそう。
ただ、問題はトランプ氏に勝てる候補が現れるのか(いなかったからバイデン氏が予備選で勝利したはず)。8月19-22日シカゴでの民主党大会(各州の代議員が支持候補を正式表明)が決戦の場になる可能性もあり、今後の展開から目が離せません。
・米PCEは総合、コアとも前月から伸びが鈍化
・ただ、期末要因もあって長期金利は上昇
・米ドル/円は再び161円に接近
・バイデン氏はTV討論会での劣勢を挽回するか、それとも・・・
5月の米PCE(個人消費支出)デフレーターは市場予想の通りで、前月から伸びがやや鈍化しました。米長期金利(10年物国債利回り)はPCEを受けていったん低下しました(※)。しかし、その後に期末(月末、四半期末、前期末)のポジション調整からか国債が売られて長期金利は大幅に上昇。160円台前半に下落していた米ドル/円は再び161円に接近しました。
※米長期金利と米ドル/円はTV討論会の前後(日本時間28日午前10時ごろ)に上昇しました。トランプ氏が優勢で、減税や関税引き上げがインフレ圧力になるとの見方が強まったからかもしれません(神田財務官の交代人事が明らかになったことも円安圧力になったとの見方はありますが)。
28日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場のメインシナリオ(予想確率5割超)は「年内利下げは9月と12月の2回」でほぼ変わらず。ただし、9月の利下げ確率は66%、年内の追加利下げの確率は66%で、「確実」とは言えない状況です。

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米国の5月PCEデフレーターは、総合が前年比2.6%、食料とエネルギーを除くコアも同2.6%。いずれも市場予想通りで、前月(総合2.7%、コア2.8%)から伸びがやや鈍化しました。

労働コストを強く反映するとしてFRBが注目するPCEコアサービス(住居費を除く)は前年比3.4%と、前月(3.5%)から伸びがわずかに鈍化しました。ただ、昨年終盤までみられた鈍化傾向は今年に入って足踏みに近い状態です。

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大統領候補によるTV討論会では、直後のCNNによる視聴者調査で「トランプ氏が勝った」との回答が67%でした。ただ、これはバイデン氏のオウンゴールと言えそう。バイデン氏にとって最大の目的は、自身の健康や職務遂行能力に対する懸念を払しょくすることだったはず。しかし、風邪のせいもあったのか、弱々しく見え、言い間違いもありました。
バイデン氏は討論会後に選挙戦を続ける意向を表明したようですが、少なくとも水面下では代替候補を探す動きが活発化するかもしれません。
■バイデン氏が出馬を取り下げた場合・・・
可能性は高くないかもしれませんが、民主党が代替候補を擁立することは可能です。州によってルールが異なるようですが、民主党の予備選でバイデン氏を支持した代議員は、自身の支持する候補に切り替えるか、あるいはバイデン氏が指名する後継者を支持することになりそう。
ただ、問題はトランプ氏に勝てる候補が現れるのか(いなかったからバイデン氏が予備選で勝利したはず)。8月19-22日シカゴでの民主党大会(各州の代議員が支持候補を正式表明)が決戦の場になる可能性もあり、今後の展開から目が離せません。
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