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【株価指数】政治の不透明感が欧州株の重石⁉

2024/06/17 07:07

【ポイント】
・FOMCや日銀会合を経過し、S&P500やナスダック100は高値更新
・日経平均は揉み合い、5月CPIに注目
・フランスや英国の選挙を控えて、政治の不透明感が株価の重石に

先週(6/10- )のレビュー

米FRBのFOMC(11-12日)や日銀の金融政策決定会合(13-14日)などの重要イベントがありました。もっとも、市場が大きく反応したのは、FOMC前に発表された米国の5月CPI(消費者物価指数)。CPIが市場予想を下回って米利下げ観測が高まったことで、米長期金利(10年物国債利回り)が大幅に低下し、米株価を押し上げました。

FOMCの「ドット・プロット」は年内の利下げ1回を示唆。6月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を大きく下回りました。それらを受けて株価が下押しする場面もありましたが、S&P500ナスダック100終値ベースで最高値を更新して週を終えました。NYダウは週末にかけて軟調。


日経平均は揉み合いに終始しました。米CPIを受けた米株の上昇、日銀会合での現状維持など、株価のプラス材料もありましたが、明確に方向感が出るほどの材料とはならなかったようです。

FTSE100は軟調。6-9日に実施された欧州議会選挙でEU(欧州連合)に批判的な極右や右派が勢力を拡大したこと、それを受けてマクロン大統領が下院を解散したこと(選挙の投票日は6月30日と7月7日)、そして英国での総選挙(7月4日投票)で与党保守党が労働党に大差で負けるとの観測などが英国株の重石となったようです。


今週(6/17- )の相場材料

米FOMCや日銀会合を通過し、またS&P500やナスダック100が高値を更新して週を終えるなど、日米株価を取り巻く環境は比較的良好でしょう。

今週は、RBA(豪中銀)BOE(英中銀)の会合があります。いずれも現状維持が予想されていますが、フォワードガイダンス(先行きの政策示唆)がどうなるかは要注目でしょう。

米国では、NY連銀とフィラデルフィア連銀の6月製造業景況指数、5月の小売売上高鉱工業生産住宅着工件数など、多くの経済指標が発表されます。足もとで弱めの経済指標が増えているだけに、それらが総じて弱ければ、利下げ観測を高める(株高要因)一方で、景気への懸念を強める(株安要因)可能性もあります。

日本の経済指標では5月の全国CPIに注目でしょう。日銀は次回7月の金融政策決定会合で国債買入れを減額する計画を決定するとしており、そのため利上げは次々回9月以降に持ち越されるかもしれません。ただ、CPIの結果次第では長期金利が再び1.0%を目指す、あるいはそれを超える可能性もあり、日経平均が神経質になるかもしれません。

英国ではBOEのMPC(金融政策委員会)では、現状維持がほぼ確実視されています。ただ、据え置きか利上げで五分五分とみられている次回8月の会合に関して何らかのヒントがみられるかもしれません。FTSE100は政治情勢にも影響を受けそうです。欧州議会選挙の結果を受けて欧州株が全般に下押し圧力を受けています。英国では政権交代の可能性が高く、またフランスでの極右RN(国民連合)の躍進予想も政治の不透明感を高めそうです。その結果、リスク回避の動きが強まれば、株価にとってマイナスとなりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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