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G7で為替相場への言及あるか

2024/05/20 12:07

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【今週のポイント】
・米ドル/円に上昇圧力?
・G7で為替相場への言及があるか
・RBNZ会合で市場のNZ金融政策見通しが変化するか

先週はNYダウが史上初めて4万ドルを超えて越週。その他の米株価指標も週中に最高値を更新しました。FTSE100も週中に高値を更新。日経平均は3月につけた高値には届かないものの、上昇基調でした。

米国の4月CPI(消費者物価指数)はほぼ市場の予想通りながら、市場ではFRBが9月にも利下げするとの観測が高まり、株価の押し上げ要因となりました。市場のムードはリスクオン(リスク選好)であり、株価は上値を追う展開となりそうです。

今週の主要経済指標・イベント

経済指標では、20日に中国5月最優遇貸出金利、21日に日銀「金融政策の多角的レビュー」に関する第2回ワークショップ、22日に日本3月機械受注、日本4月貿易収支、米国4月中古住宅販売件数、FOMC(4月30日~5月1日開催分)議事録、エヌビディア決算、23日に米国5月製造業PMI、米国4月新築住宅販売件数、G7財務相・中央銀行総裁会合(~25日)、24日に日本4月全国消費者物価指数、米国4月耐久財受注などが予定されています。

日米の金融政策見通しに大きな変化はないかもしれませんが、市場が経済指標/イベントにどう反応するか、要注目でしょう。<西田>

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RBNZ(NZ中銀)の政策会合が22日に開かれます。豪ドル/NZドルやNZドル/円、NZドル/米ドルについては、会合の結果が材料になりそうです。

カナダの4月CPI(消費者物価指数)が21日に、南アフリカの4月CPIが22日に、メキシコの5月前半CPIが23日に発表されます。CPIの結果を受け、市場のBOC(カナダ中銀)やSARB(南アフリカ中銀)、BOM(メキシコ中銀)の金融政策見通しが変化するかどうかに注目です。

NYダウが17日に終値ベースで史上初めて4万ドルを超えました。米国など主要国の株価が堅調に推移れば、リスクオン(リスク選好)の動きが強まるとともに、円が全般的に軟調に推移して、豪ドル/円などのクロス円は上値を試す展開になる可能性があります。

TCMB(トルコ中銀)が23日に政策会合を開きます。TCMBは3月の会合で5.00%の利上げを実施した後、前回4月の会合では政策金利を50.00%に据え置きました。4月会合時の声明では、「インフレ見通しが大幅に悪化すれば行動する」と表明されました。

トルコの4月CPIは前年比69.80%と、上昇率は68.50%から加速したものの、カラハンTCMB総裁などの発言をみると、23日の会合で政策金利は据え置かれそうです。カラハン総裁は14日に「インフレ率(CPI上昇率)は5月に約75%でピークに達し、今年後半には大幅に鈍化する」と述べ、シムシェキ・トルコ財務相は15日に「(TCMBの)金融政策はインフレ期待を安定させるのに十分引き締められている」との認識を示しました。市場ではTCMBは23日の会合で政策金利を据え置くとの見方が大勢です。その通りの結果になれば、トルコリラに大きな反応はみられないかもしれません。<八代>

今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:152.000円~158.000円>
17日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場のメインシナリオ(確率5割超)は、「FRBは9月と12月に0.25%ずつの利下げ」です。ただし、9月までの利下げ確率は約8割、12月までの追加利下げの確率は7割程度です。したがって、今後の材料次第では利下げ開始の観測が11月に後ズレしたり、年内の追加利下げがメインシナリオから外れたりする可能性があります。その場合は、米ドルにプラスに作用しそうです。

日本の長期金利(10年物国債利回り)は、17日に0.95%まで上昇。日米長期金利差が縮小して、米ドル/円の下落を示唆しています。長期金利差が一段と縮小するのかどうか、要注目でしょう。<西田>

今週の注目通貨ペア②:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.10500NZドル>
22日にRBNZ(NZ中銀)の政策会合が開かれます。その結果が豪ドル/NZドルの行方に大きく影響を与える可能性があります。

RBNZは4月の会合まで6回連続で政策金利を5.50%に据え置きました。政策金利は今回も据え置かれると考えられます。

RBNZの声明や政策金利見通し、オアRBNZ総裁の会見も材料になりそうです。RBNZは前回4月の会合時の声明で「政策金利を長期間にわたって(景気)抑制的な水準に維持することで、年内にCPI(消費者物価指数)上昇率は1~3%の目標に戻ると確信している」と表明。また、2月の金融政策報告では「政策金利は5.60%でピークを迎え、25年前半に5.50%(現行水準)を下回る」との見通しを示しました。今回の会合でRBNZの金融政策スタンスや政策金利見通しに大きな変化があるのかどうかに注目です。

市場では、RBNZは早ければ8月の会合で利下げを行うとの観測があります。声明や政策金利見通し、オア総裁の会見が市場の利下げ観測を後退させる内容になれば、NZドルが堅調に推移して、豪ドル/NZドルには下押し圧力が加わりそうです。<八代>

今週の注目通貨ペア③:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.38000カナダドル>
カナダの4月CPI(消費者物価指数)が21日に発表されます。物価動向はBOC(カナダ中銀)の金融政策に大きな影響を与えるため要注目です。

BOCは前回4月10日の政策会合で政策金利を5.00%に据え置く一方で、マックレム総裁は会合後の会見で「6月に利下げする可能性もある」と述べました。市場ではBOCは次回6月5日の会合で利下げを行うとの観測もあります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込むBOCの6月会合の確率は、据え置きが約6割・利下げが約4割です。カナダの4月CPIが弱い結果になれば、BOCの利下げ観測が強まるとともに、カナダドル安材料になりそうです。

米ドル/カナダドルについては、市場のFRBの金融政策見通しがどう変化するかにも注目です。22日公表の米FOMC議事録などでFRBの利下げ観測が後退する場合、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそうです。<八代>

西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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