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米ドルが対円で34年ぶり、対カナダドルで5カ月ぶり高値

2024/04/17 09:05

【ポイント】
FRBの利下げ観測が後退して米ドルが堅調
・鈴木財務相は円安けん制のトーンを強めるか否か
・英CPIでBOEの利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

16日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は154.743円、米ドル/カナダドルは1.38413カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.05999ドル、英ポンド/米ドルは1.24035ドルへと下落。米ドル/円は90年6月以来およそ34年ぶり、米ドル/カナダドルは約5カ月ぶりの高値を記録し、ユーロ/米ドルは5カ月半ぶり、英ポンド/米ドルは5カ月ぶりの安値をつけました。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「最近の(インフレ等の)データがわれわれの確信を深めるものでないことは明らか」、「景気抑制的な金融政策が作用する時間をさらに与えるのが適切となるだろう」などと述べたことが、米ドル高材料となりました。

(本日の相場見通し)

足もとの米ドル高の主な要因として、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測の後退が挙げられます。CMEのFedWatchツールによれば、本稿執筆時点で市場が織り込む利下げの確率は、次回4月30日-5月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0%、6月11-12日までで18.8%、7月30-31日までで45%程度です。9日時点の確率はそれぞれ、2.3%、57%程度、75%程度でした。

本日は、ボウマンFRB理事やメスター・クリーブランド連銀総裁の発言機会があり、ベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表されます。それらがFRBの利下げ観測を一段と後退させる内容になれば、米ドル高がさらに進んで、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上昇し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下落する可能性があります。

鈴木財務相は16日、足もとの円安(米ドル/円の上昇)について「今の動きをしっかりと注視していく」、「必要に応じて対応していく」と述べました。G7とG20の財務相・中央銀行総裁会議がワシントンでそれぞれ開かれます。会議後の会見などで鈴木財務相が円安についてどのような発言をするかに注目です。円安をけん制するトーンをこれまでよりも強めれば、米ドル/円はいったん下落しそうです。

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英国の3月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間15:00)。CPIの市場予想は、総合指数が前年比3.1%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたコア指数は同4.1%です。総合指数の上昇率はBOE(英中銀)のインフレ目標である2%を引き続き大きく上回るものの、2月の3.4%から鈍化し、またコア指数の上昇率も2月の4.5%から鈍化するとみられています。

市場ではBOE(英中銀)は8月に利下げを行うとの見方が有力です。CPIが市場予想を下回る結果になれば、8月の利下げ観測が強まるとともに、英ポンドが軟調に推移しそうです。

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[利下げ開始は、ECBが6月、BOEが8月、FRBが9月!?]です。

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NZの1-3月期のCPI(消費者物価指数)が日本時間7時45分に発表されました。CPIの結果は前年比4.0%と、RBNZ(NZ中銀)のインフレ目標(1~3%。2%が中間値)を引き続き上回ったものの、23年10-12月期の4.7%から伸びが鈍化しました。

国内要因のインフレ圧力を反映する非貿易財のCPIは前年比5.8%と、上昇率は23年10-12月期の5.9%から若干鈍化しましたが、水準は依然として高く、またRBNZの2月時点の見通しである5.3%を上振れました。

RBNZは前回4月10日の政策会合時の声明や議事録で、「景気抑制的な金融政策を維持する必要がある」と繰り返し表明しました。一方で市場では、早ければ8月に利下げが行われるとの観測があります。非貿易財のCPIの結果をみると、NZ中銀が早期に利下げを行う可能性は低下したと考えられます。市場の利下げ観測は後退しそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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