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ユーロの行方、ECBは利下げの口火を切るか

2024/03/29 07:58

【ポイント】
・ユーロ/米ドルは狭いレンジで安定的に推移
・ECBが利下げの口火を切れば、ユーロに下押し圧力?
・米(英)利下げ観測が高まれば、ユーロの反発材料?

ユーロ/円は3月21日につけた高値からやや軟化しています。それでも、08年9月のリーマンショック以降の高値圏で推移しています。これは米ドル/円が150円を超えて堅調を維持しているため。ユーロ/米ドルは23年以降1.05ドル~1.10ドルを中心とした狭いレンジで推移しており、28日時点でその中間近辺にあります。また、ユーロ/米ドルは現在、21年の高値と22年の安値の中間近辺にあるとも言えます。

ユーロ/米ドル

■ユーロ/円については本日29日のテクニカル・ポイント「ユーロ/円、下値固めの時間帯か」をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

ユーロ/米ドルが比較的狭いレンジで比較的安定して推移しているのは、一つには金融政策の位相が類似しているからでしょう。米FRBは昨年7月の利上げ以降、ECBは同9月の利上げ以降、金融政策の現状維持を続けており、市場はいずれもが6月に利下げに踏み切る可能性が高いと判断しています。

ECBの次回および次々回の理事会が主要中銀の政策会合のなかで最も早いタイミングで開催されます。とりわけ、市場は6月の理事会での利下げを100%近い確率で織り込んでいます。これに対して、FRBやBOE(英中銀)の6月利下げ確率は7割程度にとどまっています。

次回会合(結果判明日、現地時間)
【 】は市場が織り込む政策変更確率(+利上げ、-利下げ)。28日付けOISに基づく
4月12日 ECB理事会【-10%】
4月26日 日銀金融政策決定会合【+3%】
5月1日  FRBのFOMC【-11%】
5月9日  BOEのMPC【-21%】

次々回(同上)
6月6日 ECB理事会【-95%】
6月12日 FRBのFOMC【-73%】
6月14日 日銀金融政策決定会合【+13%】
6月20日 BOEのMPC【-70%】

ECBは物価をみるうえで賃金動向を重視していますが、包括的なデータが5月下旬に明らかになります。多くのECBメンバーは6月に十分な判断材料が揃うと考えているようです。また、最もタカ派の1人、ナーゲル・ドイツ連銀総裁でさえ、8月の夏季休暇前(=6月か7月)に最初の利下げの可能性が増していると認めています(3/23インタビュー)。

上述の通りユーロ/米ドルは方向感を模索しているようにみえます。ECBが利下げの口火を切るとの観測からユーロに下落圧力が加わるのか。その場合、FRB(やBOE)がすぐに追随するとの見方がユーロの反発材料となるのか。金融政策見通しの変化がユーロの方向感に大きく影響しそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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