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3者会合は為替介入の前触れ??

2024/03/28 08:15

【ポイント】
・22年9月の会合後、1週間でレートチェック、2週間で1回目の介入
・当面は「152円の壁」が強く意識されるが、市場が慣れれば突破も
・レートチェックや「スタンバイ」で効かなければ介入か

財務省、金融庁、日銀は27日夕刻、国際資本市場に関する情報交換会合、いわゆる「3者会合」を開催しました。終了後に神田財務官は「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」と述べ、足もとの円安をけん制しました。

近年の3者会合は以下の通り(報道ベース)。

23年5月30日 約半年ぶりに140円台(対米ドル、Bloomberg、下同じ)
23年3月17日 SVB(シリコンバレー銀行)破たんに関連して
22年9月8日  2日間で約5円の円安
22年6月10日 前日9日に134.56円と約20年ぶりの円安
22年2月28日 ロシアのウクライナ侵攻に関連して
21年1月7日  政府のコロナ緊急事態宣言発令に向けて
20年7月31日 コロナ情勢を踏まえて(104.19円と約4カ月ぶりの円高)
20年3月13日 コロナの感染拡大について

上記22年6月と9月のケースはその後の為替介入につながる動きだったので、もう少し詳しくみておきましょう。

22年初めに115円近辺で推移していた米ドル/円は3月のFRBの利上げ開始とともに上昇基調に。6月に入ると上昇ピッチが急になったことで、10日に3者会合開催。3者会合前後で1円程度の円高になりましたが、米ドル/円はすぐに反発。

米ドル/円は7月中旬から8月上旬にかけての調整局面を経て、再度上昇。9月6-7日に140円そこそこから145円近くまで上昇したことで8日に3者会合開催。14日に日銀がレートチェック。そして、米ドル/円が146円に接近したところで1回目の米ドル売り円買い介入実施。

米ドル/円は1回目の為替介入後に145円手前で足踏みしていました。しかし、10月に入って騰勢を強め、21日に150円を超えて152円に迫ったところで大規模な2回目の為替介入。週末を挟んで24日にも為替介入が実施され、米ドル/円はその後に下落に転じました。

米ドル円と介入

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以上をまとめると、22年のケースでは・・・

最初の3者会合から3カ月強、米ドル/円が10円程度上昇した水準で1回目の為替介入2回目の3者会合から1週間後に日銀のレートチェック、同2週間後に1回目の為替介入。1回目の介入から約1カ月後、米ドル/円がさらに5円上昇した状況で2回目の大規模介入があり、「円安」の流れが止まりました。

もっとも23年5月の3者会合のケースでは、140円を超えて「円安」が進行しても為替介入への動きはありませんでした。11月1日に米ドル/円が150円を明確に超えた時点で、神田財務官が「スタンバイです」と発言。その後に米ドル/円は下落基調に転じました。

今回は22年10月の米ドル/円の高値を超えてきたところで、「円安」に対するけん制が強まりました。当面は介入警戒感から米ドル/円が152円を超えるのは難しいかもしれません。ただ、市場が現行水準に慣れてさらに上を目指すならば、まず「スタンバイ」などの強いけん制や日銀のレートチェックなどがありそうです。それでも効かなければ、いよいよ為替介入となるかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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